―１１４― ページ20
翔太side
・
ガチャ
照「一本ちょうだい。」
翔太「何？禁煙してんじゃねーの？(笑)」
照「今日は特別。吸いたい気分。」
ポケットからライターを渡す。
風に吹かれて揺らめく炎。
吐き出す、煙。
ベランダの柵に二人でもたれ掛かりながら雲の多い夜空を見つめた。
照「ふぅ〜〜〜。」
翔太「できると思う？元通りに。」
照「今さらでしょ？(笑)」
翔太「無理かな。俺は。」
照「俺もだね。」
照「根本の恨みは変わらない。父さんが生きてればって思うことたくさんあるし。家族を壊したのは紛れもなくあいつ。」
どれだけ、月日が経っても、
気持ちが晴れることはなかった。
ラウールを許そうって気持ちも。
間違いなく家族の形を変えたのはラウールな訳で。
今さらねぇ。
許してあげてって言われてもねぇ。
翔太「あいつら俺らに対して、当たり強くなるだろうなぁ。」
俺ら以外の兄弟は、ラウールを支えるために一致団結している感が溢れている。
そこに当たり散らすのも居心地が悪くなるだけ。
ほっとくのが一番か。
照「まっ関わらなければ良いっしょ。」
翔太「だね(笑)。」
この考えが馬鹿だった。
戻る機会はあったのに。
・
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作者名：ゆり
| 作成日時：2022年3月3日 0時
