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―106― ページ12

辰哉side

















医師「悲嘆反応ってご存じですか?」





辰哉「ひたん?反応・・・?」





 



 









 



医師「個人差はありますが、大切な人をなくされると相当のショックや無力感、喪失感、怒り、不安感。たくさんの感情が出てきます。」








亮平「はい。」








医師「お母さんやお兄さんたちがラウールさんに向けた怒りもその一つです。」








辰哉「・・・・・・。」








医師「ラウールさんはずっと出せなかったかもしれないですね。自分のせいだから。僕が悲しんだり、笑っちゃダメって。」








亮平「・・・・・・。」








医師「ずっと罪悪感を抱えていたんだと思います。だから自分自身の感情に制限をかけていたんですよ。」





 




 








 




 

当日、小学4年生だったラウール。






全てを受け止めるにはあまりにも幼い。






それに加えて俺らの怒りまでも受け止めた。







今思い返せば、







ラウールは泣かなかった。








泣くどころか、子供らしい感情を一切出さなかった。














 


でもそうさせたのは紛れもなく俺ら。












 








 













 


医師「今度はお兄さんたちの番です。ラウールさんの痛みや苦しみを受け止めてあげてください。」






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作者名:ゆり | 作成日時:2022年3月3日 0時

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