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辰哉side
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医師「悲嘆反応ってご存じですか?」
辰哉「ひたん?反応・・・?」
医師「個人差はありますが、大切な人をなくされると相当のショックや無力感、喪失感、怒り、不安感。たくさんの感情が出てきます。」
亮平「はい。」
医師「お母さんやお兄さんたちがラウールさんに向けた怒りもその一つです。」
辰哉「・・・・・・。」
医師「ラウールさんはずっと出せなかったかもしれないですね。自分のせいだから。僕が悲しんだり、笑っちゃダメって。」
亮平「・・・・・・。」
医師「ずっと罪悪感を抱えていたんだと思います。だから自分自身の感情に制限をかけていたんですよ。」
当日、小学4年生だったラウール。
全てを受け止めるにはあまりにも幼い。
それに加えて俺らの怒りまでも受け止めた。
今思い返せば、
ラウールは泣かなかった。
泣くどころか、子供らしい感情を一切出さなかった。
でもそうさせたのは紛れもなく俺ら。
医師「今度はお兄さんたちの番です。ラウールさんの痛みや苦しみを受け止めてあげてください。」
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作者名:ゆり | 作成日時:2022年3月3日 0時