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辰哉side
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まだ、正直俺もラウールを失った悲しみを受け入れることができない。
風呂場のあの光景。
真っ赤な地獄絵図。
横たわる姿。
滴る赤を思い出すだけで涙があふれてくる。
あれから、俺は風呂場に近づけなくなった。
それは涼太も同じみたい。
照のジムでシャワーだけ浴びて帰ってくる。
そんな毎日。
シーンと静まり返るリビングは誰もいないことが増えた。
仕事から帰ってきたらぼーっと仏壇の前に座ることがほとんど。
父さんの写真の隣には、康二が撮ってくれたラウールの写真。
ニコッと笑う姿は水族館で撮ったもの。
最近はこの写真の前で過ごすことが増えた。
またみんなで、家族になろうとしていた矢先の出来事だったのに・・・
辰哉「ごめんね・・・ラウ。」
そんなありきたりな言葉しか出てこない。
きっと、
もっと早く家族の歪みを解決していたら、
もっと話を聞いてあげれば、
もっともっと、
きっとやれることがあったんだと思う。
俺らが、暗くどんよりとした毎日を送っている最中、
警察がラウールのことで話があると電話がかかってきた。
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作者名：ゆり
| 作成日時：2022年11月1日 0時
