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ラウールside
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あれからしばらく月日が経って。
気づけば、季節がまた1つ動いていた。
1人寂しく過ごしていた日々も、
環境が変わればこんなにも幸せなんだと思い知ることができた。
そして、
僕の誕生日も近づいていた。
いつもとは違う。
カレンダーに付いたはなまるの印。
僕も心を躍らせていた。
辰哉「今年はちゃんとお祝いしようね。」
康二「たこ焼きパーティーしようや!」
大介「おまえ、辛いやつ入れたいだけだろ(笑)!!」
涼太「ラウ?なんかほしいものある?」
亮平「遠慮しないで、言ってごらん。」
ラウ「特にないよ。お祝いしてくれるだけで嬉しい。ありがとう。」
大介「なぁ〜に〜!!!?」
康二「それじゃ困るわ〜。」
どうやろうかとか、何をプレゼントしようかとか・・・
ワイワイと騒ぐお兄ちゃんたちを遠目で見つめる。
本当だよ。
僕、欲しいものなんてないよ。
しいて言うなら、この家族の温かさを感じられる日々がずっと続くといいな。
それだけ。
本当にそれだけ。
こうして、みんなで毎日笑って居られる日々が
ずっとずっと、続きますように。
毎日が幸せすぎて、忘れていたのかもしれない。
人生はやっぱり残酷だと思った。
どんなに元通りになろうとしても、
一度歪んだものは、
結局は元に戻らない。
僕の存在が、
やっぱり家族を歪ませているんだね。
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作者名:ゆり | 作成日時:2022年9月1日 0時