歪んだ十字架６ (ページ44)

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ラウールside

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蓮くんの家での日々は思ったよりも穏やかだった。

蓮くんはすごく心配症。

僕がちょっとでもいつもと違うとすごく心配になるみたい(笑)

僕の顔まわりを触りながら、健康チェック。

　

蓮「なんか、熱くない？熱ある気がすんだけど。」

ラウ「もぉ～さっき測ったじゃん。熱ないって。」

こうやって一日が始まる(笑)

　

蓮くんは日中仕事。

この時は学校で起こっていたことなんかすっかり忘れてて。

学校の勉強に遅れないようにしなきゃなぁなんて軽い気持ちだった。

　

ラウ「あっ教科書ないや。」

暇だし・・・

家に取りに行こうかな・・・

こんなこと思わなきゃよかった。

　

家の扉をこっそりと開けた瞬間、

異様な雰囲気に包まれていた。

誰もいないと思っていたけど、

聞こえてきたのはお母さんとお兄ちゃんの言い争う声。

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昔を思い出すと、

肝っ玉母さんみたいなイメージとは全然違って。

穏やかで、柔らかい、優しいお母さんだった。

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母「ラウ～、気を付けなさいよ。」

母「もぉ、またここ擦りむいて・・・。」

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大好きだったお母さん。

朗らかな笑顔に、優しい眼差し。

頑張らなきゃいけない時に、

優しく頭をポンポンってしてくれる仕草がお気に入りだった。

　

　

でも・・・

出てくる言葉は、僕を傷つけるものばかり。

名前すら呼んでくれない。

　

心のどこかでね。

お母さんや照にいや翔にいの態度が嘘かもしれないって思っていたから。

また何となく元通りになれるかなって。

　

お母さんから出てきた言葉のとげは、容赦なく僕の心を突き刺した。

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