歪んだ十字架６ (ページ41)

今日:3 hit、昨日:14 hit、合計:164,692 hit

―２５０― ページ41

ラウールside

　

・

・

あの後からのことはあんまり覚えてない。

記憶がぷっつり切れてしまったみたいで。

事故の日から今までの記憶がすっぽりと抜け落ちていた。

　

気づいたら病院にいて、

ベッドに横たわっていて。

あれ？なんでってなった。

　

よくわからないけど、毎日涙が止まらなくて、

毎日来るお兄ちゃんに縋りついた。

　

寂しいよ

不安だよ

助けてよ

色んな感情がぐちゃぐちゃに。

僕が泣いているとね、辰にいがぎゅっと抱きしめてくれる。

同じように蓮くんも。

抱きしめてくれる感覚がなんだか懐かしくて。

すっごく甘えてしまった。

　

　

　

自分でもなんでかよくわからないけど、

蓮くんと辰にい以外のお兄ちゃんから、恐怖感を感じる。

あんなに優しいお兄ちゃんなのになんでなんだろう。

心の奥底がザワザワとした。

　

　

それでもね。

優しいお兄ちゃんたちは、僕をたくさん抱きしめてくれたし、

気遣ってくれた。

大ちゃんが漫画を持ってきてくれて、

康二くんが写真を撮ってくれて、

涼にいがケーキを作ってくれて、

亮ちゃんは迷路とドリルだっけ？

なんで？って思ったけど(笑)。

それよりもあんなたどたどしくて、ビクビクしている亮ちゃん初めてだったな。

　

そう言えば、

照にいと翔にいが全然お見舞いに来ないのはなんでだろう？

お仕事、忙しいのかな？

　

でも、

なにより僕が一番不思議に思ったのは、

お母さんとお父さんが全然お見舞いに来ないことだった。

・