歪んだ十字架６ (ページ32)

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ラウールside

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耳をふさいでいたら、

いつの間にか、扉を叩く音は無くなって、静かになっていた。

　

そっと耳から手を外す。

帰ってきた時よりもお腹の痛みが強くなり、

意識が朦朧とする。

　

ラウ「はぁ・・・はぁ。」

しばらくして聞こえてきたのは、怒ったお兄ちゃんの声ではなくて、

　

　

優しく、温かい蓮くんの声だった。。

　
どうやら、蓮くんが、みんなを遠ざけてくれたみたい。

お兄ちゃんがいなくなったことに少しだけ安心した。

　

　

蓮「あのね、この前報告しようと思ってたんだけど・・・。」

蓮「俺、主演の作品決まったんだよ。」

　

　

この時の僕の感情はすごく複雑だった。

　

　

蓮「舞台の主演だよ。すごいでしょ？ラウがさ、楽しみに待ってくれていたおかげだよ。」

　

多分、いつもだったらすごく嬉しいんだけど。

僕は心の中で思ってしまった。

正直な話、

　

このまま蓮くんが芸能人を辞めてくれたら良いのにって。

そしたら僕は・・・

こんなに脅しを受ける必要がないのにって。

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