歪んだ十字架６ (ページ30)

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ラウールside

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ガラっと玄関をドアを開けると、お兄ちゃんたちが立ち尽くしている。

さっきよりも確実にお腹の痛みが強くなり、意識が朦朧とする。

覚えているのは、いつもと違ってみんなびっくりした顔だったってこと。

　
　

怒られると思っていたのに、何でだろう？

もう・・・何もかも分かんないや。

康二にいが「おかえり」って言ってくれた気がした。

誰かに「おかえり」って言われたのが久しぶりすぎて。

本当だったら嬉しくなるのに、

今の僕にはそれに反応する余裕もなかった。

　

康二にいと目が合う。

心配そうに僕を見つめている。

目が合ったって言っていいのかな？

正確には、ぼーっと一点を見つめる僕の視界に入っただけ。

この時、僕の意識はどっかに行っちゃっていたと思う。

　

　
　

辰にいや大にいが声をかけてくれたけど、

なんて言ったか分からなかった。

とにかく、気持ち悪い。

トイレに行きたい。

　

翔太「お前、何とか言えよ！！！」

　

ビクっ

僕の背筋が一気に凍る。

その声が引き金になり、お腹の痛みがさらに倍増したような気がした。

　

やばい

吐きそう。

必死にお兄ちゃんたちの間をかき分け、僕はトイレに駆け込んだ。

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