歪んだ十字架６ (ページ29)

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ラウールside

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ラウ「はぁっはぁ・・・。」

　

空はすでに真っ暗。

寒い北風が吹きつける。

日が沈んでからかなりの時間が経っていた。

　

自分がどこを歩いているのか、どうなったのか・・・

思い出すだけで吐き気がする。

　

今日は特にひどかった。

放課後にまた先輩たちに河川敷に呼び出されて、

　
　

連れて行かれて、

あの時のように、

汚れて、

穢されて。

制服も泥だらけ。

　

ラウ「いやっ・・・。」

　

そんな僕の必死の抵抗も微塵も通らなかった。

カシャカシャと写真を撮る音がまだ耳に残っている。

　
　

　

ドンドン締め付けられるように痛くなるみぞおちらへん。

　
塀を頼りにゆっくりと歩いていく。

　

時計は見ていない。

もう確実に怒られることは分かっているから。

　

　

いつもだったら、怒られる、どうしようって焦るのに。

もうそれすら、考えることもできなかった。

　

どうせ、僕のことなんて誰も心配していない。

僕が帰ってこなかったって・・・

いなくなったって多分何とも思わない。

蓮くんが同じような状況だったらきっと・・・

みんな必死になって心配するだろうな。

　

僕の精神はどこか遠くに行ってしまったのか。

もうなにも考えられない。

考えたくもない。

　

虚ろな目には一体何を映していただろう。

ただただ、僕の息遣いだけが響いていた。

　
　

　

　

家の前に立ち尽くし、

もたれ掛かるようにに玄関のドアを開けた。

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