24.【you】 ページ28
.
『…んっ』
目が覚めると、見たことのない天井に、家具、床があった。
この感覚は何度も経験した。
私、また…
『せんちょ…、ベポ…ペンギンさん、シャチさん…っ』
また、大好きな人達に迷惑をかけてしまう…
その一心で、思うように動かない体を引きずる様にして、ベッドを降りる。
ガチャ…
『！』
そこで手首に付けられた錠に気付く。
思うように力が入らないのは、この錠がきっと海楼石で出来ているから。
今までにも何度か捕まってしまったことはあるけど、海楼石は初めてだった。
つまり、これは、私を能力者と知って…
『…っ』
「目が覚めたかな？」
カチャ、と静かに部屋に入ってきたのは見たことのない男性。
青いスーツにピンクのシャツとネクタイをしていて、紳士のように立ち振る舞う。
隣には、黒いスーツの執事のような男性が従えていた。
海賊や山賊ではないことに少しだけ安心する。
『あのっ、ここは…』
「ここは、私の屋敷だよ。"眠り姫"」
私の通称を知っていることに、やはり、と納得する。
『私に、何か用ですか…！』
「私はずっと会いたかったんだ君に。手配書を初めて見た時から惹かれるものがあった。やっと会えた…！」
高笑いする男性の目は少しずつ狂気を孕んできて、後退りをしてしまう。
「私の名前は、フランチェスカ・ビクトル。この街の貿易商人だ」
「ビクトル様は、ここを大きな貿易港にすることで、多くの船や人が行き交う島にし、あなたが訪れるのを心待ちにしていたのです。」
『…！』
そんなことを言われても…
私は、
「そう…君は、何故か海賊の一員…。君にそんな危険な道を選んで欲しくないんだ」
『わ、私は今は…っ』
近づいてきた彼は、私にぐっと顔を寄せた。
笑顔なのは口元だけ。
「"眠り姫 A"。君が海賊になってどうするんだい？君はどうやって戦う？私が思うにこの野蛮な海は似合わない。君は安全な場所で幸せそうにゆっくり眠っているのがいいと思うんだ。あの手配書を見て、私はそう思った。だから、君を守ってあげなきゃいけないと強く思ったんだよ。分かるかい？」
『っ…』
「彼らも、君を守ってあげなきゃいけない、という思いで戦うんだ。彼らは君を守るために死んでいくかもしれないんだ！」
『…っ！！』
頭を過ぎる船長達の笑顔。
離れた彼は呟く。
「ふむ。……トラファルガー・ローか」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 989人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Sumile(プロフ) - つばめさん» キラーは冷静な分析タイプだと思っています(笑)ウソップは現実的で、ゾロは野生の勘です← (2022年12月5日 12時) (
レス) id: c9c35200a7 (このIDを非表示/違反報告)
つばめ - ロードンマイ キラー感良すぎキッド達もルフィの船に来れば (2022年11月30日 12時) (レス) @page48 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
Sumile(プロフ) - つばめさん» そうなんです！なんだかんだ人の事見てるんですよね！ (2022年11月26日 0時) (レス) id: ab9f76a07e (このIDを非表示/違反報告)
つばめ - ルフィの感の良さはある意味時に鋭いですよね (2022年11月24日 23時) (レス) @page47 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
つばめ - ローにとってこの２つの海賊団は厄介そのもの特にルフィ達は厄介の塊ローにはご愁傷様ですがこの２つの海賊団同時又は一つづつでも良いので彼らの絡み見たいです^ - ^ (2022年11月18日 12時) (レス) @page46 id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Sumile | 作成日時：2022年9月26日 20時
