イベリス (ページ25)

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Aside

『入学式、新入生代表として挨拶をする海君に一目惚れしたの。』

自信を持って断言するように、一語一語に力を込めてはっきりと話す姿に思わず目が離せなくなった。

『でもその時は頭が良くて、運動も出来て、沢山の人に囲まれているのに憧れてただけだったかもしれない。』

引きつけられるみたいに人が集まって、常に中心に居るのは私じゃ出来ない事だから。

『海君が拓弥君達と戯れてて廊下でぶつかった時に私が運んでいた書類ばら撒いちゃって。』

先生に頼まれていた書類が宙に舞った時の絶望はきっと忘れない。

『凄く謝ってくれて、最後の1枚があるまで確認してくれて、本当に良い人なんだって思って。』

慌てて戻って来てくれて、友達は先に帰しても自分は残って最後まで見てくれた。

『単純なのかもしれないけれど、それからはもう止められなくて、何度も告白してる。』

今視線の先に居る海君にはちゃんとした理由を言ったことが無いけれど、言う気も無い。

好きな気持ちが少しでも伝わってくれればそれで良い。