アネモネ (ページ6)

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拓弥side

列はかなりのスピードで進んでいき、校門をくぐり、受付が見える距離まで来た。
代表生徒がどんどん列を捌いていく。
全員が手早くかつ丁寧に仕事をしている中、笑顔で楽しそうにしている人がいた。

ああ、仕事好きなんだな。
素直にそう思った。本当に楽しそうで。
結構長いことその人のことを見てしまっていたらしい。
こちらに気づき、バチっと音が聞こえるくらい思い切り目があった。
そうは言っても向こうは作業中なのですぐに逸らされてしまったのだけれど。
なぜか残念がる自分がいた。

「おーい、拓弥。何見てるん？」

「別に。」

「ん？あー俺分かっちゃった。俺そういう勘は鋭いんやで。頑張ってな！」

口元を緩ませながらつついてくる。

「は？何の話？」

「拓弥、自分の気持ちくらい気づかんと！」

そう言って勢いよく背中を叩かれた。痛い。
たまにこいつはよく分からないことを言う。
自分の番になり、空いた所に行くと、
あの人だった。