明後日【リング編】 ページ24
「煙の中から誰かが飛び出してきたかと思えば。夜遅くにここで何をしているの」
久しぶりの雲雀さんの姿や声に戸惑い、上手く声が出ず雲雀さんをただ見つめることしかできなかった。
「返答によってはここに君の骨を埋めることになるけど」
ﾁｬｯ､と鈍く光るトンファーを構えるとこちらへと走ってきた。
やばい、このままでは殴られてしまう。
頭をめがけて振り下ろされたトンファーを咄嗟に避け、慌てて相手の背後に回り込む。私の以前とは違う動きに驚いたのか目を見開くと｢へぇ｣と嬉しそうに呟くなり攻撃をやめトンファーを仕舞った。
「ちょっとは楽しめそうだ」
ツカツカとこちらに歩いてきて手を伸ばせば触れられそうな距離で止まった。すっと顔をあげると久しぶりにはっきりと雲雀さんの顔を見た気がする。
「明後日、屋上へ来るように。時間はこれくらいでいいよ」
『あ、あの』
「なに」
『私、雲雀さんに聞きたいことがあるんです』
ふぁ、と大きな口を開けて欠伸をすると｢それも明後日聞いてあげる｣と言うなりそのままどこかへと行ってしまった。私もここに来た本来の目的を思い出し慌ててグラウンドを後にした。
雲雀さん、何を思って私を突き放したんだろう。
その答えが分かるのはいつになるかは分からないけれど、今は少しでも雲雀さんに追いつけられるといいな。
『クローム！！』
「？」
クロームを1人で夜道を歩いているところで発見した。声をかけると足を止めて私が駆け寄るのを待ってくれた。
『危ないから送ってく』
「、いい」
『だめだよ、女の子が1人でこんな暗いところ歩いちゃ』
遠慮していたが強引に私がさあ行こう、と歩き出しながら声をかけるとちょっと嬉しそうな顔をしてに駆け寄ってきてくれた。
それから黒曜につくまでは色んな話をして少しでも距離を縮めようとクロームのことを知った。
『パイナップル苦手だったの？！』
「、、うん」
『てっきり好きなものかと、、ふふ』
「？」
『ううん！なんでもないよ！』
ちらりとクロームの頭の房を見て、ちょっと笑ってしまう。人を見かけで判断しちゃダメだね、本当に。
そんなこんなで無事黒曜へと送り届け、自分も家へと帰った。
夢でまたあの房を見ることになるとは思いもしなかった。
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作者名：もんち | 作成日時：2016年9月11日 13時
