勝利【リング編】 ページ22
そしてそのまま男は赤ん坊に勝利したのだが。
「そんな、、そ、そこまでしなくても、、」
「この期に及んで敵に情けをかけるとはどこまでも甘い男ですね、沢田綱吉」
容赦ない最後にツナは声を荒らげた。
赤ん坊は、六道骸の幻覚によって粉々にされてしまったのだ。
「心配無用といっておきましょう。あの赤ん坊は逃げましたよ。彼は最初から逃走用のエネルギーは使わないつもりだった」
『じゃあ、、無事なんだね』
「クフフ、抜け目のないアルコバレーノだ」
男の言葉を聞き椅子に座っていた敵方のボスが部下に赤ん坊を消せ、とこれまた慈悲のない言葉を落とす。
男はそのまま敵方のボスに向き直ると何か知っているような口ぶりで忠告するなり、こちらへと歩いてきた。
犬くんは私がもたれかかってるのを忘れて男の元へと駆け寄って行ってしまい、私はそのまま勢いで倒れてしまいなんとも間抜けな声を上げてしまった。
『いてて、』
「あっ、樹忘れてたびょん」
「クフフこの程度でくたびれていては、貴女もまだまだですね」
『ごもっともです、、』
まだ足は覚束無いが立つことはできるようで、立ち上がり男の元へと向かう。
「戻ってこい、樹！！」
「クフフ、それくらい警戒した方がいいでしょうねえ。僕もマフィアなどと馴れ合うつもりはない」
『獄寺、』
「僕が霧の守護者になったのは君の体をのっとるのに都合がいいからですよ沢田綱吉」
「てめーっ！！」
「ちょっ、待って獄寺くん！」
ツナは獄寺を止めると男を真っ直ぐ見つめて戦ってくれた礼を伝えた。男は少し柔く笑うと静かに目を閉じ｢この娘を｣と言うなり床へと倒れていく。
間一髪の所で体を受け止めるといつの間にかクロームに変わっていた。
『クローム！』
「そーだ！！この子の内蔵は！？」
「心配ねーぞ。クロームの内蔵は骸の強力な幻覚によって機能している」
確かに脈もしっかりしていて静かな寝息も聞こえる。安心して一息ついていると犬たちはその場を立ち去ろうとしていた。
『犬くん、千種くん？』
「起きりゃ自分で歩けんだろ？それにそいつちやほやする気はねーびゃん。骸さんじゃねーからな」
目も合わさず言い放った冷たい言葉になんと返せばいいのか分からずただ背中を見つめることしかできなかった。
寂しいこと、言わないでよ。
その後は体力が回復次第クロームを家へと運び、余程疲れていたのだろう。
そのまま一緒にぐっすり眠った。
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作者名：もんち | 作成日時：2016年9月11日 13時
