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〜貴方side〜
はっとスイッチが入ったように意識が浮上する。
重い瞼を開けると、病院特有の白い天井が目に映った。
随分眠っていたのだろうか。体中が鉛のように重い。
なんとか体を起こして周りを見渡すと、朝の光がやけにちかちかと目に染みた。
がらりと音がして病室の扉が開く。入ってきたのはカカシだった。
カカシは私の起き上がっている姿を見ると、驚いたように目を丸くする。
カ「目が覚めたか」
貴「うん…心配させたな………私、どれくらい眠ってたのだ?」
カ「あの予選から数日後ってところかな。サスケもちょっと前に目が覚めたよ。唯が気絶している間に治療と呪印の封印はしておいたから」
貴「そうか……ん?封印したってことは、おぬし眠っている間にわ、私の服を剥いだのか!?」
ぎゅっと自分を抱きしめてジト目で言うと、カカシは「そんなことする訳ないでしょ!」とツッコんだ。
カ「服の上からさせて貰ったし、流石に傍から見たら犯罪になるからしないって……あとその封印だが、対象者の意志の力を礎にしているから完全に呪印を抑え込めた訳じゃない。お前が望めば呪印の力は解放されてしまうからな…」
貴「……肝に銘じておく」
カカシの忠告にコクリと頷いて答える。
もうあんな我を失うような恐ろしいものに頼りたくないから、きっと大丈夫だろうと考えた。
カ「ま、とりあえず中忍試験お疲れ様」
貴「…落ちてしまったがな」
気まずく笑うと、カカシは私の頭を一撫でした。
カ「あれは負けというかなんというか、唯は変にお人好しなところがあるから…後悔はしてないんでしょ?」
貴「無論だ。…桔梗さんが『認められたい』って必死になったところがどうも昔の私と似ていて…」
カ「…そっか」
貴「でも実際のところ、私はただの偽善者だったのだろうか…」
カ「そう感じるのは人それぞれだから一概に無いとは言えないけど…少なくとも俺はそうは感じなかったよ」
貴「!…そうか。それなら、いっか………」
誰かが思ってくれるから、それでいい。
ふわりと浮かべた笑みは、恐らくカカシにも見えていたのだろう。
束の間の穏やかな時間が、そこにはあった。
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ミコト(プロフ) - すごく好きな話です!更新大変かもしれないですが、頑張ってください!! (2019年8月11日 0時) (レス) id: 47f303260b (このIDを非表示/違反報告)
カメ系腐女子 - めっちゃいいやん!続きが気になります!更新頑張ってください!!評価させてもらいます!ログインしてないのでお気に入り登録は出来ないんですが、評価とコメントはさせていただきます! (2019年6月23日 20時) (レス) id: fed8378344 (このIDを非表示/違反報告)
おふ豚(プロフ) - エシルさん» ありがとうございます!あ〜よかったです!そう言っていただけるのが本当に嬉しいです!これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2019年5月22日 20時) (レス) id: f11330c0ee (このIDを非表示/違反報告)
エシル(プロフ) - 小説読みました!凄く面白かったです! (2019年5月22日 19時) (レス) id: 2e63a126ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おふ豚 | 作成日時:2019年5月22日 11時