月明かりの道標【NARUTO】 (ページ32)

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～貴女side～

ナ「唯」

ナルトが静かに声を上げる。

ビクリと肩が震えた。

ナ「顔上げろ」

ｻｸ「ちょ、ナルト！」

ナ「悪ィけど、サクラちゃんは黙っててほしい。唯、聞こえてんだろ」

貴「っ！」

怖い。上げたくない。見たくない。

ナ「唯！」

貴「ビクッ」

カタカタと体を震わせ、視界がぼやける。
なんとか涙だけは流すまいと歯を食いしばりながら顔を上げる。

恐る恐る、3人の顔を見た。

貴「・・・え」

ナルトもサスケさんもサクラさんも、誰一人として怒りや不満といった表情は浮かべていなかった。

貴「お、怒ってないのか？軽蔑してないのか・・・？」

ｻｽ「そんな訳ねェだろ」

ｻｸ「そもそも、なんで怒んなきゃいけないのよ」

ナ「誰もそんなことで呆れたりなんかしないってばよ！」

その時、ぎゅっとサクラさんが私を抱きしめる。

ｻｸ「私達の方こそ好奇心で覗いて、知られたくないこと無理やり話させちゃってごめんなさい。・・・ずっと本当の自分を隠していて、辛かったわよね、寂しかったわよね」

ｻｸ「これからは、私達にもその苦しみを分けてくれない？」

貴「でも・・・迷惑になるんじゃ」

ｻｽ「迷惑になんだったら、そもそもそんなこと言わねぇよ」

ナ「唯はもっと頼ってもいいっての！」

ナ「オレ達、仲間だろ！！！」

貴「なか・・・ま」

ポタリ・・・と一筋の涙が伝う。

ポタ、ポタ、ポタ

やがて雨のように溢れ出す涙に、慌てて目を擦った。

貴「す、すまぬ。あれ、おかしいな、すぐ泣き止むからちょっ『カ「こら」((パチンッ』っいったい！！な、何をする！？」

ちょっと待ってて、と言いかけた言葉がカカシのデコピンによって塞がれる。

ひりつくおでこを摩り、カカシを睨むと当の本人はニコリと笑った。

カ「やっぱり、無理してたんじゃない」

貴「っ！！！」

カ「昔と違って、もう頼れる仲間もいるんだから、今ぐらい泣いたら？」

そう言って、よしよしと頭を撫でられる。

貴「っふ、うっ、うぇぇぇぇん！！！」

ぼたぼたぼた

両目から大粒の涙が零れ落ちる。

もう止めようとすら、思わなかった。