月明かりの道標【NARUTO】 (ページ31)

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～貴女side～

部屋に沈黙が降りる。

3人は未だ気まずいのか、座ったものの下を俯いてしまっていた。

貴「まずは非礼を詫びさせてほしい」

3人
「！？」

指をついて、深く頭を下げる。

頭上で息を呑んだ声が聞こえた。

貴「私は、皆を騙して生きてきた」

貴「私の本当の姿は、月の国の当主・月輪姫。・・・カカシとはその時に知り合った」

ナ「お、お姫様ァ！？」

ｻｸ「ま、待って！月の国っていえば、たしか何年か前に滅んだって！」

驚き、素っ頓狂な声を上げるナルトとサクラさんに弱々しく微笑む。

貴「そう・・・我が国は1度滅んだ。目の前で大勢の民が亡くなり、城は燃え、悲鳴と怒号が飛び交う・・・あれを地獄と言わずになんという。・・・私も本来なら国と運命を共にするつもりだったが、1人の従者が命をかけ術を使い、私を木の葉へと逃がした・・・」

目を閉じるとあの時の光景が瞼に浮かぶ。

体が微かに震えた。

貴「死ぬ訳にはいかないが怯えて生きるほど落ちてはない。そんなの国の恥晒しもいい所。・・・力を手に入れる為、正体を偽って永月唯として忍者学校に入り、ここまで生きてきた」

ｻｽ(オレと似ている・・・)

貴「だけど、1番忍失格なのは私だな・・・チームワークの要はメンバーの信頼というのに・・・私はそなたたちを信じることができなかった。隠せるのなら、最期まで隠し通すつもりだった」

貴「軽蔑したであろう？・・・私は自分のことしか頭になかったのだから」

今まで溜めてきたものを吐露する。

早く、怒ってほしい。

嫌だ、呆れないで。

軽蔑、してほしい。

怖い、何も言わないで。

矛盾した、今まで感じたことの無い感情がぐるぐると私を支配し、巣食う。

吐き気にも似た気分の悪さで、顔色がサッと青ざめた。