◇ ページ32
暫く話し込んでいた。所々聞こえてくる。なんでここに来たの？ とか。どうしたの突然。とか。
「近くを通りかかったからさ。久しぶりに、お姉ちゃんに会いたくて」
ごめんね突然、そう笑う彼女。ああ。妹かとジャックは1人で納得してテレビに視線を戻す。対して面白い話題は流してないが。
だがAはわたわたと血相をかえたまま。そして妹(と思われる彼女)にちょっと待っててと言うと、急ぎでジャックの元まで来た。
「うそうそうそ……恐れていたことが一番恐れていたタイミングで起きてしまったァ……」
──それに対して、話は冒頭に戻る。
ジャックは冷たく「人生のツケだ」と切り捨ててきた。くそうこの男、まだ箸の件を根に持ってやがるとAはジャックを見つめる。
家族とは不仲だった。特に母親。何かとAと出来のいい妹を比べる親だった。家の中が檻のように息苦しいと思う学生時代だったと、ふと脳内を過ぎった。
妹はAにも優しく、懐いていたような気さえする。だが前述の件もあり、Aの方から彼女とは距離を開けていた。本音を言えば会いたくなかった。なんでわざわざ来たのかと辛辣な言葉さえ飛ばしそうになるほどに。
しかも今だ。家に(本当に不本意とはいえ)男の人がいる状態で。何を勘違いされるかわからないし、何を母親にチクられるかわからないと気が気ではなかった。
「……(もう会わない人から、どう思われたって構わないはずなのにね)」そう頭では思っていても。
「あ、一人暮らしじゃないの？」
玄関にある靴や、ちょっとした生活臭で彼女は的確にそれを当ててきた。あー、とか。うーん、とAが返事を濁らせていると彼女の方から「そうかあ」と話を繋げられた。
「近くによったから会いたかったのもあるけど、あのね、少し相談もあったの」
「……家になら帰らないよ、何があっても」
「あ、うん。……それは、そうだよね」
この反応を見るに、家関係かとAはため息を着いた。しかしなにか、本当に困っている様子ではある。話だけは聞くかと家に上げようとして──。
「いやだからジャックがいるんだって……」
「ジャック？」
ああ、挙句口が滑った。
ひとりツッコミのレベルが高いのも困りものだとAは今日何回目かのため息をついた。
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まっさ(プロフ) - 貴方様の小説でどんどんマイナーにハマってしまいます。ディアマンテのも最高でした。供給が少ないのは悲しいですが、少しずつ増えていくことを願っております。 (2020年11月9日 17時) (
レス) id: f7179f55a7 (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - まっささん» わわわ……！このような偏狭の作品までようこそお越しくださいました。そして閲覧ありがとうございます！今までにない誰かの、ありそうで無かった世界のお話をこれからも是非のんびり楽しんで貰えたらと思います！！ (2020年11月9日 17時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
まっさ(プロフ) - 珍しいと思い開いてみたら、これはやばい。ハマりました。更新を楽しみにしております。 (2020年11月9日 17時) (レス) id: f7179f55a7 (このIDを非表示/違反報告)
OSO(プロフ) - びぃさん» はるか前から愛してますっっっっ！！！！！！ (2020年10月22日 23時) (レス) id: 4e9a925863 (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - OSOさん» コメントありがとうございます、実は私もはるか昔から貴方が好きでした…… (2020年10月22日 23時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：びぃ | 作成日時：2020年10月21日 13時
