０７：恐怖 ページ29
──恐れていた事は、本当に恐れていたタイミングで訪れるものだ。そうぼやくと危機のわかってないジャックは「人生のツケだ」とつっけんどんに答えるのであった。ツケが付くような生き方してません！ と思わず力いっぱいAは否定するのだった。
どれもこれも、きっと朝からジャックをネタに笑ってしまったからに違いない。だからそれとなく今攻撃されてるのだと痛感し、ジャックひとりを笑うツケが人生の安否に関わってると今更ながら思うのであった。
冷え込みが増してきた朝。いつものように小煩いアラームを止める回数も増え、普段よりも30分ほど遅れて起床した。寝ぼけ眼で部屋(と言うより仕切りがほとんど無い家の中)を見渡すが、ジャックはいない。
だがAにはわかる。いないからと言って今までの全てがけっして夢などでは無いことを。そうであったなら──と思わなかった訳では無いが、だが違うものは違うのだ。恐らくジャックは玄関を出てすぐの所にでも居るはず。昨日がそうだった。
もそもそ起き上がり、朝ごはんの用意をてきとうに済ませる。焼くだけだしと魚に塩をかけて焼いて、後はセルフでいいやと本当にお手軽に済ませた。片付けは、まあジャックがしてくれるかもしれんと淡い期待とともに放置。
丁度いいタイミングでジャックが外から戻ってきた。食べ物の匂いに釣られましたかな？ と笑ったが、バカ野郎の一言で冷たく一蹴された。ですよねーなんて言って、Aも自ら振った話題を流す。
「別に俺のはいらねェんだがな」と言うが、まあこれくらいしかしてあげれる事ないしなあとAは呟く。命を守ってもらってる側であるので、本当に、不穏いな事ながら。
「いただきます」といつもの習慣で手を合わせて、箸を使って魚を解して食べる。潮が良く効いてて美味しい。こういう素朴な味は嫌いじゃない。
そして何気なくちらっと向かいにいるジャックの方を見る。──何やら齷齪(あくせく)と何かと戦っていた。ん、とそちらに意識も向けた。箸だ。箸と戦っている。
Aの方をちらっと見て、箸を持つ彼。ふるふる震えて上手く箸が動かせない。みっと交差する箸。その度眉間に深い皺ができる彼。
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まっさ(プロフ) - 貴方様の小説でどんどんマイナーにハマってしまいます。ディアマンテのも最高でした。供給が少ないのは悲しいですが、少しずつ増えていくことを願っております。 (2020年11月9日 17時) (
レス) id: f7179f55a7 (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - まっささん» わわわ……！このような偏狭の作品までようこそお越しくださいました。そして閲覧ありがとうございます！今までにない誰かの、ありそうで無かった世界のお話をこれからも是非のんびり楽しんで貰えたらと思います！！ (2020年11月9日 17時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
まっさ(プロフ) - 珍しいと思い開いてみたら、これはやばい。ハマりました。更新を楽しみにしております。 (2020年11月9日 17時) (レス) id: f7179f55a7 (このIDを非表示/違反報告)
OSO(プロフ) - びぃさん» はるか前から愛してますっっっっ！！！！！！ (2020年10月22日 23時) (レス) id: 4e9a925863 (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - OSOさん» コメントありがとうございます、実は私もはるか昔から貴方が好きでした…… (2020年10月22日 23時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：びぃ | 作成日時：2020年10月21日 13時
