◇ ページ21
「どっかの偉い研究者が、別世界の片鱗を見付けた」
猿の男は語り出した。別にジャックが言えと言った訳では無いが、お約束のようにぺらぺらと重大なことをチラつかせて、得意げに話し出したのだ。そのせいかジャックも口を挟まずに聞いている。間抜けなものを見る目で。その目は少し、怖いなと思った。
「そしたらトラベル系の能力者が世界観を飛び越えてトラベルしてたという事例が見付かった。それに目を付けたのが、取っかえ引っ変え屋だった」
取っかえ引っ変え屋。この前のカマキリ男も似た話をしていたことをAは思い出した。
「詳しい条件はわからねェが、取っかえ引っ変え屋なら世界観さえ飛び越えて”取っかえ引っ変え”ができると言っていた。試しに引っ変えたら、どうやらあの百獣海賊団のキングが引っかえれたと言っていてな」
「兄御が」
ジャックがさすがに反応を示す。そう言えば彼はAにも「キングの兄御か」と声をかけてきたことがあったと思い返す。キングという人間(だと思うが)の知り合いであり、お兄ちゃん的な存在だったと見ていいのだろうかとAは顔をしかめる。
いやいや、それもだが──まさか本当に別世界が絡む案件だったなんて。まだ夢を見てたと言われた方が信じられそうだ。
「まァ、兄御のことだ。そっちは心配ねェか」
「随分つめてーな、弟分」
「入れ替わってたと思ってたやつに兄御がいねェんだ。そっちの思惑通りに事が進んでねェことは確かだろう」
ジャックの痛烈な切り返しに、猿の男は少し口ごもった。だがすぐにひょうきんな態度を取ると、まあ強がれるのも今のうちだがなと肩を上げる。
「今なら大物(キング)が取れると踏んだが……まァなんだ、ジャック。この際お前でもいいんだ」
「取っかえ引っ変え屋というのは何処にいる」
「聞けよ話を」
「てめェが聞け」
我の強いもの達による。堂々巡り。猿の男は「言うわけねェだろばーか」の返答ひとつだった。
「ちょっと、いやだいぶ……かなり変わった奴だが能力が1級品なのは確かなんだ。別世界とあとどれ位コネクトが取れるかしらねェが、取っかえ引っ変え屋は渡せねェなァ」
「…………なんでもぺらぺらと喋る猿だ」
「余裕があるからさ、お前……どうせ”能力が使えない”んだろ？」
その言葉にジャックはほんの僅かな反応を見せた。そして反応した己に思わず舌打ちする。猿の男はその小さなアクションさえ見逃さすことはなく、けたけたと嘲笑った。
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まっさ(プロフ) - 貴方様の小説でどんどんマイナーにハマってしまいます。ディアマンテのも最高でした。供給が少ないのは悲しいですが、少しずつ増えていくことを願っております。 (2020年11月9日 17時) (
レス) id: f7179f55a7 (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - まっささん» わわわ……！このような偏狭の作品までようこそお越しくださいました。そして閲覧ありがとうございます！今までにない誰かの、ありそうで無かった世界のお話をこれからも是非のんびり楽しんで貰えたらと思います！！ (2020年11月9日 17時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
まっさ(プロフ) - 珍しいと思い開いてみたら、これはやばい。ハマりました。更新を楽しみにしております。 (2020年11月9日 17時) (レス) id: f7179f55a7 (このIDを非表示/違反報告)
OSO(プロフ) - びぃさん» はるか前から愛してますっっっっ！！！！！！ (2020年10月22日 23時) (レス) id: 4e9a925863 (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - OSOさん» コメントありがとうございます、実は私もはるか昔から貴方が好きでした…… (2020年10月22日 23時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：びぃ | 作成日時：2020年10月21日 13時
