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そしてその大きな船は、常人から見ればそれはそれは不思議なほど相手の船へと急接近する。あと少しで、ジャックであるなら飛び移れそうだ。向こうも死ぬ気で舵を切っている筈だが、同情するほど波も風もマンモス号に向いている。いや、向かせているのだ。風の流れも、潮の流れも、読み取れてこそ海のならず者なのだ。
詳しい報告を聞いた訳でもないが、沈めなければならないのなら容赦しないのがジャック。それに、壊すのは好きな性分だった。壊せば壊れる。わかりやすく、また発散のしがいある行為だ。何の発散かは伏せておくが。
「旱害のジャック……！ く、これ以上は無理だ！！」
日照った後のように何も残らない。旱害(かんがい)。それがジャックの異名であった。敵の頭、と思われる男は腰に携えた剣に素早く手を伸ばした。そして手を掛ける。だがほぼそれと同時にジャックも船から足を離していた。ジャックの少し変わった曲線を描く形をした得物と、相手の、そこそこ業物でありそうな刀がぶつかって鈍い金属音を辺りに響かせた。
これでジャックの勝利であったはずだった。
上から叩きつけるような攻撃、万が一防がれても、ジャックには悪魔の実の能力を行使して、相手の船を無理矢理沈ませることだって可能だった。
──特異な相手でない。それは先程のジャックの言い分。それは正しい認識であった。
しかしここが”特異な場所”と”特異なタイミング”であったことだけは、彼も予想だにはしなかった。
りりりー……ん。響き渡った金属音が音を高くしながらこの場所へとまた収束されてくる。本当に収束されたのかは知らないが、体感的にはそういう感じだ。音が帰ってきた。他のものにもこの音が、不思議な感覚が伝わっているのかまでは分からない。確認のしようがなかった。
このコンマ数秒が、まるで時間の停止した世界のようだった。感覚の研ぎ澄まされた得物の切っ先。意識の先。それは相手の船長も同じのようで。
得物と得物の接触部位が、ぼんやりとした。これは。これはいけない。と頭は警鐘を鳴らすが何がどういけないのかは分からず、また身体もなかなか現実についていかない。
バチンと、少し激しい静電気のような感覚と、風景がスイッチのオンオフのように切り替わる妙な感覚に──身体全部が持って行かれた。
ああ。何かに似てると思ったら、これは悪魔の実の起こす超常現象によく似てた。
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まっさ(プロフ) - 貴方様の小説でどんどんマイナーにハマってしまいます。ディアマンテのも最高でした。供給が少ないのは悲しいですが、少しずつ増えていくことを願っております。 (2020年11月9日 17時) (
レス) id: f7179f55a7 (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - まっささん» わわわ……！このような偏狭の作品までようこそお越しくださいました。そして閲覧ありがとうございます！今までにない誰かの、ありそうで無かった世界のお話をこれからも是非のんびり楽しんで貰えたらと思います！！ (2020年11月9日 17時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
まっさ(プロフ) - 珍しいと思い開いてみたら、これはやばい。ハマりました。更新を楽しみにしております。 (2020年11月9日 17時) (レス) id: f7179f55a7 (このIDを非表示/違反報告)
OSO(プロフ) - びぃさん» はるか前から愛してますっっっっ！！！！！！ (2020年10月22日 23時) (レス) id: 4e9a925863 (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - OSOさん» コメントありがとうございます、実は私もはるか昔から貴方が好きでした…… (2020年10月22日 23時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：びぃ | 作成日時：2020年10月21日 13時
