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10:自己嫌悪と手紙 ページ14

──目が覚めてから、僕が得たもの。
それは形容しがたい程の不快感だった。ああ、自分への。

 起きた時はそれほどでも無かった、ただ枕は濡れていた。濡れた理由を思い返しているうちに、どんどん吐き戻しそうになった。

 それは意外な理由だった。
 現実を箱の中から出したことではない。それを観測したことでは無い。問題は、そこに至る理由。

 僕は、彼女を利用したんだ。
 荒んでいく生活に、きっと僕の本能が危険だと告げて、一番現実に戻りそうな方法を取ったんだ。
 それが、最低だ。思い出の中の彼女を都合のいいように喋らせて、現実を知る。そんな行為。

 最低だ。頬っぺたを触る。痛くはないが、痛かったことは覚えている。僕が君にそうさせたんだ。僕の、僕の夢の中で。
 君が優しいからきっとそうすると、全部君の口から言わせて、僕はのうのうと生きていく。

「あああああぁぁぁぁ……」

 こんなつもりじゃなかったのに。
 これでは残りの思い出のそれらだって、もしかしたら自分が改変したのではと疑いが起きて、とてもじゃないが平常心ではいられない!

 取り乱しそうだ、そう思った時──スマホがなった。
 君の両親からだ。シュレディンガーの真似事を始めた時から、ずっと、君の両親は僕に電話を掛けてくれていた。
 汗ばんだその手で、そっとスマホに触れた。ずっと取るつもりのなかった電話に、僕ははじめて応答したのだ。

 君の両親の、繋がったことに対する驚きの声。……それと同時に、安心したような声。ああ、なるほど。君の両親だねと鼻をぐずりと鳴らした。

『繋がって良かったばい』
 出身地の方言が色濃い君のお父さんの声。

『あん時はもろうてくれんかったが、はよあの手紙ば取りに来い』

 最後の手紙。と言うやつだった。
 もちろん書いた彼女は最後にするつもりなんてなかったのだろうが、結果的に最後になったもの。しかし何故手紙なんて書こうとしたのか、ラインがあるのに……と僕は頭を動かした。

 はやく手紙を取りに来い。という言葉に、僕はふたつ返事で頷いた。

11:拝啓、君へ→←◆



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びぃ(プロフ) - #よにん。@str48&変人系カップルさん» お返事遅れてしまい申し訳ありません!完結までお付き合い下さり本当にありがとうございました……!!!m(*_ _)m (2020年8月29日 19時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。@str48&変人系カップル(プロフ) - 完結おめでとうございます! (2020年8月19日 20時) (レス) id: ac2334f46f (このIDを非表示/違反報告)
びぃ(プロフ) - 「 」さん» お返事遅くなりました!ありがとうございます…!駆け足最速乱文であったにも関わらず最後まで御付き合い下さり感謝しかありません…!! (2020年8月19日 12時) (レス) id: 1463c1385c (このIDを非表示/違反報告)
「 」(プロフ) - ご完結おめでとうございます。素敵な作品で、ついつい見入ってしまいました。ありがとうございました!!! (2020年8月13日 8時) (レス) id: e81c17c75a (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。@str48&変人系カップル(プロフ) - びぃさん» 返信ありがとうございます!通知は全然大丈夫なんですが...体調が心配だなあと感じておりまして。。。無理をしていないのなら良かったです... (2020年8月13日 5時) (レス) id: 024f1c0ff1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:びぃ | 作成日時:2020年8月10日 18時

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