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乃木「明日はとりあえず野崎さんたちの動きを追おう。何か新しい情報を掴んでいるかもしれないからね」
黒須「ええ」/『はい』
黒須が隣から立ち上がると、水羽が彼に向かって手を伸ばした。
黒須「なんだよ」
『私の分のペットボトルも取って』
黒須「いやだね。自分でとれよ」
水羽がはあ?と声を上げたところで、また小競り合いが始まるなと思った。「黒須」と言ってやると仕方なさそうに彼女の手にペットボトルを置いた。
黒須「乃木さんは、こいつに甘いんすよ」
乃木「仲が良すぎるのもほどほどにしてくれ」
呆れたように言えば、「仲良くないですよ」と反論が返ってくる。全くどこまで息の合うバディなんだ。直属の部下になる前からバディを組んでいる二人。自分たちでは嫌でも認めないだろうが、これほど喧嘩するほど仲が良いを体現する人間もいないだろう。
乃木「お前たちの方は元気だったか」
黒須「はい。だいぶ俺たち頑張りましたよ。ねえ?」
『先輩の逃亡劇には及びませんが』
乃木「よしてくれよ」
黒須「あ、言い忘れてました。このホテル、セキリュティ上の確認を取れているのがこの部屋しかなくて。なので俺は床で寝ます。水羽は…」
乃木「そうか。ただ、このベッドは十分広い。横で寝ろ」
『あ、じゃあ私が床で』
乃木「遠慮するな。別になにもない。疲れているだろうからしっかり体を休めろ」
『お言葉は有り難いですが、成人男性二人に成人女性一人が寝るには少し窮屈です。先輩が逆に休めなくなってしまうので、私は床で大丈夫です』
黒須「分かった。俺が床で寝る」
『なんで?いいよ』
黒須「だって………いや、その、体痛めるだろ」
『お生憎様。そんな柔くないの』
思わず、ふはっと笑い出してしまった。
『…先輩?』
乃木「いや、すまん。面白くてつい」
前々から黒須の気持ちは察している。いや正確には、Fが気づいたのだが。恋愛脳のあいつから「オイオイ、黒須は水羽に惚れてるぜ」と何度聞かされたことか。多分Fがいなくても、乃木憂助としても一目瞭然のことではあるけれど。
それにしても出来る部下であるはずの黒須は、同じく出来る部下である水羽の前では全て空回りする。水羽の方がスキルが上だと言うのか。いやそれは違う。二人とも同程度のスキルを保持している。何がそうさせるのか。答えは一つしかない。
乃木「黒須は、水羽を気遣ってるんだよ」
『え?そんなわけないですよ』
黒須「先輩、何言ってるんすか、」
まあこういうわけだ。
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rui - 所々ある黒須さんとの絡みが読んでいて楽しめました。このあとの2人の関係や水羽さんの過去など、展開が気になります。更新、楽しみに待ってます。 (10月15日 1時) (レス) @page19 id: 3a7fda0428 (このIDを非表示/違反報告)
緑茶 - VIVANTの小説は少ないのでとても楽しく読ませて頂きました!同じく7話が衝撃すぎてどうなるか全く想像出来ないので最終回が終わるまで楽しみに待っています!頑張って下さい🥹 (8月28日 21時) (レス) id: 9f4c88a27d (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 7話衝撃的でしたよね!最終回まで続き楽しみだけど我慢して待っときます...😢 (8月28日 4時) (レス) @page19 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
かい - めっちゃ面白いです! (8月28日 0時) (レス) @page18 id: 2262061eb9 (このIDを非表示/違反報告)
月海(プロフ) - ( 'ω')そうですよね...意外すぎる展開、、、最終回あとの楽しみが出来ました!!頑張ってください!待ってます (8月27日 23時) (レス) @page19 id: 25a0c09626 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉莉花 | 作成日時:2023年8月15日 23時