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先輩は野崎と食事か。「水羽と計画を綿密にしておくように」という指示を確認して足早に同期が待つ場所へと向かった。
『遅いよ、黒須』
黒須「せっかちすぎねーか」
『あんたが遅いからナンパされた』
黒須「は？」
顔を合わせれば小言しか言わない同期には慣れたが、突拍子もないその発言に普段なら状況や指示を瞬時に理解する頭も追いつかなかった。
『本当にただのナンパだった。モニターじゃない』
黒須「は…？」
『公安でもなかった』
職業上、彼女がナンパされたという相手が自分たちが追っている組織のモニターかもしくは公安か。それは一番に気になるところだが、相変わらず間抜けな返答しか返せないのはそれだけが理由じゃない。
黒須「なんでお前がナンパされるんだ？」
『お姉さん超綺麗ですね、って。それが答えじゃない？』
黒須「うっぜー」
涼しい顔で言い放つ彼女。同期がナンパされて動揺するなんてそんなことはしていない。別班の工作員、頭の切れる彼女に悟られるまいと軽口を叩く。
確かに彼女は「超綺麗」と言われるに相応しい容姿。男だらけの世界で、女ましてや美人の隊員なんて稀すぎて目を引くものだ。ただそれはこの一般社会でも通用する美貌らしかった。最大限に気配を消しても人の視線を惹きつけてしまうらしい。現在、まさにその状況である。
黒須「先輩はリヤドを経由して、バルカに入る。俺たちは先にバルカに到着。野崎の動向を追いつつ、アリのGPSは常に見張る。」
『了解。滞在するホテルは上が手配済み。ここなら構造上の問題もなし。安心してネットワーク接続できる。』
先輩の指示通り、計画を綿密にしている。元はと言えば近くの中華料理店に入ろうとしたのに見事に先輩と野崎らの姿が見えて辞めたのだ。
『ちょっと！ソファに寝っ転がらないで』
黒須「あーうるせえうるせえ」
『ねえどいて。座れない。ていうか、私の部屋だしここ』
小言にわざとらしく耳を塞ぐとクッションで殴られる。水羽の部屋に来ていることは間違いないが、通算何百回目なので少しくらい許容してくれたっていいだろうに。
結局俺が折れて隣に彼女が座ってくる。膝に抱えたクッションの上にはパソコン。別班業務用のものではなく、勤務先の会社のものだ。彼女もまた、一般人に擬態している。
カタカタとキーボードを打つ音が聞こえなくなったなと隣を見れば、小さく寝息を立てる同期がいた。
ここ最近の激務で疲れたのだろう。側にあったブランケットをかけてやる。ただの同期、されど同期。寝顔を眺めながら自分の中にある複雑な感情にまた気づかないふりをした。
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rui - 所々ある黒須さんとの絡みが読んでいて楽しめました。このあとの2人の関係や水羽さんの過去など、展開が気になります。更新、楽しみに待ってます。 (10月15日 1時) (
レス) @page19 id: 3a7fda0428 (このIDを非表示/違反報告)
緑茶 - VIVANTの小説は少ないのでとても楽しく読ませて頂きました！同じく7話が衝撃すぎてどうなるか全く想像出来ないので最終回が終わるまで楽しみに待っています！頑張って下さい🥹 (8月28日 21時) (レス) id: 9f4c88a27d (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 7話衝撃的でしたよね！最終回まで続き楽しみだけど我慢して待っときます...😢 (8月28日 4時) (レス) @page19 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
かい - めっちゃ面白いです！ (8月28日 0時) (レス) @page18 id: 2262061eb9 (このIDを非表示/違反報告)
月海(プロフ) - ( 'ω')そうですよね...意外すぎる展開、、、最終回あとの楽しみが出来ました！！頑張ってください！待ってます (8月27日 23時) (レス) @page19 id: 25a0c09626 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茉莉花 | 作成日時：2023年8月15日 23時
