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太田「できた、」
『…!』
黒須!と呼びかけようとすると、彼もさっと立ち上がった。
太田「いまからウイルスを仕込んだ空メッセージを送信します。メッセージがサーバーにたどり着いたら線が緑になって、サーバーのアドレスが表示されます。情報提供者からのコードが有効なこの時間内にサーバーにたどり着いたら私たちの勝ちです」
黒須「わかった」
太田「送ります」
メッセージが送られて、赤い線が動いてゆく。
残り時間58分35秒。サーバーを探したまま停止している空メッセージ。固唾を飲んで見守るも中々動きを見せない。
黒須「一時間切った。なんで止まってんだよ!」
太田「そんな簡単に見つかるわけないでしょ」
黒須が顎に手を当てている。焦っている時の癖。私にも多少の焦りはあったけど、黒須のそんな姿を見てこちらが妙に落ち着きを得た。
大丈夫、サーバーは必ず見つかる。そんな意を込めて、黒須の肩に手を置いて頷いた。
そのまま画面と睨み合った。
そして残り時間13分15秒。赤い線がまた動きを見せた。
『進み出した!』
太田「そろそろかも」
黒須が駆け寄ると、さっとその表情を伺う太田さんが視界の端に映る。それから右側にいる私に目を移した。視線を感じるが、画面に集中しているふりをして前を向き続ける。ほんの些細なことだけど、引っかかった。私たちの真意を探ろうとしているような…。
残り時間1分を切った。でも時間は待ってくれない。秒数のカウントダウンが進む。
黒須「そろそろってもう一分切ったぞ!」
太田「うるさい!ハッキングなんて最後は運!神様の気まぐれ!」
おお……………、迫力凄い。こんな天才ハッカーでも最後は運、と。
20秒を切ったところで、赤い線が物凄いスピードで動き出した。ある地点で止まって、緑の線と化し、アドレスが表示された。そしてNetwork Disconnectedと表示された黒い画面。
黒須「消えた、消えたぞ!おい!」
太田「ギリギリでコピーした」
天を仰ぎつつ、小さくガッツポーズをする太田さん。私たちが勝ったんだ。正確には、彼女に神様が味方してくれたのだ。
『神様、味方してくれたね』
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rui - 所々ある黒須さんとの絡みが読んでいて楽しめました。このあとの2人の関係や水羽さんの過去など、展開が気になります。更新、楽しみに待ってます。 (10月15日 1時) (レス) @page19 id: 3a7fda0428 (このIDを非表示/違反報告)
緑茶 - VIVANTの小説は少ないのでとても楽しく読ませて頂きました!同じく7話が衝撃すぎてどうなるか全く想像出来ないので最終回が終わるまで楽しみに待っています!頑張って下さい🥹 (8月28日 21時) (レス) id: 9f4c88a27d (このIDを非表示/違反報告)
おひな(プロフ) - 7話衝撃的でしたよね!最終回まで続き楽しみだけど我慢して待っときます...😢 (8月28日 4時) (レス) @page19 id: fb3fd917e6 (このIDを非表示/違反報告)
かい - めっちゃ面白いです! (8月28日 0時) (レス) @page18 id: 2262061eb9 (このIDを非表示/違反報告)
月海(プロフ) - ( 'ω')そうですよね...意外すぎる展開、、、最終回あとの楽しみが出来ました!!頑張ってください!待ってます (8月27日 23時) (レス) @page19 id: 25a0c09626 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:茉莉花 | 作成日時:2023年8月15日 23時