兄を求めて 26 ページ28
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そこには、暗闇だった。
...でもなんだか、炎の気配を感じる。
頭上から、暖かさが溢れてきている。
{私は誰}
{私の目的は}
{私の生きる理由は}
...答えてあげよう。
私は...、シャス・ヴィトン・フォンダシオン。
私の目的は...、大好きな兄を探すこと。
私の生きる理由は...
...本当の私と、本当の兄に会うため。
憶測だから違うかもしれないけど、なんだかそんな気がするんだ。
《 ...それで、生きる理由は終わりか 》
そんな声がした。
残念ながら、生きる理由はそれだけ。
それだけの為にブランド国を建国、総統まで成り上がったんだから。
《 矛盾で対等な存在論は、やはり面白い 》
《 〈目的〉に正式な登録をしよう 》
《 新世界と旧世界の違いに、とくと遊ばれるが良い...!! 》
そう放たれ、頭上からは赤き炎がぶわっと火の粉を舞わせた。
...徐々に近づく赤き炎に目を閉じ、私は体を闇に倒す。
暑さにやられるのならば、闇に沈んで死んでしまいたい。
...知らない、と言われたかのように私の体を包み込んだ炎に、私は涙を落とす。
その涙は闇夜に堕ち、反響し、炎を青く染める。
...ねぇ、この闇夜からはいつ、放たれる?
いつ、闇夜で死ねる?
いつ、兄に会える?
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作者名:扇@リョク | 作者ホームページ:uranai.nosv.org/u.php/novel/usiro_member/
作成日時:2018年6月17日 14時