兄を求めて 15 ページ17
エーミールside
過呼吸になったシャスを医療室へ連れていったオスマンを最後に、俺はブランド国の幹部に声をかける。
『...本日は誠にありがとうございました。彼女、シャスは、先程ご観覧なさったように、かなり苦しい生活をしております。症状が完治致しましたらご連絡は入れますが...』
?「…シャスは、シャスは無事なんだろうな?!」
『...ええ。生きています。ストレスによる一時的な過呼吸でしょう。ですが、彼女の心は無事ではありません』
?「ッ、シャスさんを、よろしくお願いします、エーミール先生」
『...仕方の無い人、ですね』
私の教え子であったルイは、私に期待の眼差しを向けている。
?「ッざけんなルイッ!!お前にとってのシャスはそんなモンなんかッ?!」
?「...エーミール先生、今日はどうもありがとうございました」
と言い、顔色を悪くさせたエルメスは、ルイなどを連れて帰っていった。
それらを見送るために、私も立ち上がって外交室を後にした。
…
ブランド国を城の外まで案内し、俺は一声かける。
『本日はご来国ありがとうございました。疾患の状況は度々ご連絡致します』
Lui「シャスを、よろしくお願いします」
そう言って頭を深々と下げたルイと、全く下げようとしない男の人。
?「イード、頭を下げろ」
とぶっきらぼうに言葉を放ったエルメスと、嫌々ながらも頭を下げた、イードという人。
『すみません、名前をお尋ねしてもよろしいでしょうか?』
と私が言うと、ルイが良いですよ、と言った。
Lui「私は見ての通り、ルイです」
Her「エルメスだ、重々承知はしているでしょう、エーミール先生」
emir「エミリオです。先程は否定的になってしまい、申し訳ございません。...で、彼が...」
Ede「イードだ」
と吐き捨てるかのように言ったイード。
『...分かりました。本日は誠にありがとうございました。それでは、これからのご活躍をご期待しております』
と言って、俺は森に消えるまで頭を下げ続けた。
嗚呼ルイ、エルメス...いつの間にか、逞しくなったものだ。
12人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:扇@リョク | 作者ホームページ:uranai.nosv.org/u.php/novel/usiro_member/
作成日時:2018年6月17日 14時