【文アル】文豪のみぞ知る文豪 (ページ39)

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#３９ページ39

司書 side

司書室にオダサクさん、芥川先生、島崎先生、志賀先生を招き、今回の件について話すことになった。

「えっと、とりあえず紅茶出しとくね」

「うん、ありがとう。それで？最初から説明してくれるんだよね」

「勿論。これ以上は先生達も黙ってないだろうし、さっきは助けられたからね。最初は──」

最初は、A先生を図書館に迎えてから数日後。

特務司書として政府に「見知らぬ文豪の魂を卸した」と報告した返事は「直ちにその文豪の所有権を政府に譲り、その文豪と接触した文豪の記憶抹消を行え」という、人間性の感じられないものだった。

まさか、指示に従う理由がなかった。彼女との再開を喜んでいる先生もいるのだ。無頼派三羽烏は以前よりもっと笑うようになったと思うし川端先生梶井先生三好先生は彼女を見ては優しく微笑んでいる。
特に、宮沢先生。聞けば彼と彼女は生前師弟のような関係だったらしい。互いが互いを尊重し、絶対的信頼を寄せ合っている姿は見ていて羨ましくなった。

「……確かに、悔しいけど宮沢先生とAとの間には誰も入れへんよなぁ」

「Aが宮沢先生に心酔しているよね。僕にもその気持ちを向けてくれてもいいのに」

「いや、彼も彼女に心酔してるよ。あれはもう共依存だね」

「そうか？そうは見えないけど……宮沢は隠すのが上手いな」

うん、芥川先生は自重しようね。

それで一ヶ月は耐えたんだけどさ。なんか監査とか言って役人が図書館に来るようになったんだよね。ほら、週一で館長と来客室に一時間くらい篭った時あるだろ？その時対応してたんだ。

埒が明かないと判断したのか、政府は段々強引になっていった。来客室に案内してもA先生を探しに出ようとするし、事前連絡なしで来訪するようになった。後者についてはさすがに大人としてどうかと思う。

で、今日、とうとう。