【文アル】文豪のみぞ知る文豪 (ページ4)

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#４ページ4

「し、司書さん！？大丈夫か！？」

「あれれ、司書さん気絶しちゃったの？折角僕が生前発掘した原石を連れてきてあげたのに」

「死んだ？」

男の人の胴に手を置き揺さぶる真っ赤な髪の人とその横にしゃがみ込む少年の頭上から男の人を覗き込み、問い掛けた。

縁起でもない事言うなよ！と驚いた目をした赤髪さんが恐れるように声を震わせる。ご、ごめんよ赤髪さん、ちょっと口に出ちゃっただけなんだ。

「Aとの再会を喜びたいところだけど、今は司書さんをベッドに運ぶのが先だ。賢治先生、森先生を補修室に呼んでおいてくれますか」

「はーい！任せて！」

素早く指示を出した赤髪さんに元気よく扉の奥の廊下に消えていく少年。その背を呆然と眺めながら私はどうしたらいいのか分からずにただそこに立ち尽くした。

そんな私を見て、司書さんと呼ばれていた男の人を背負った赤髪さんはクイッと顎で廊下をさし、歩いていく。着いてこい、という事か。急ぎ足で赤髪さんの後を追った。

「……ここは？」

「帝國図書館ってところ。Aも含め俺らは俺らが書いた本が侵蝕されて人々の記憶から消えていく現象を阻止する為に司書さんに魂を呼び起こされたんだ」

「随分、勝手だね」

「人間なら誰だって勝手さ。Aにも身に覚えがあるだろ？」

やけに馴れ馴れしく、私のことは分かってるといった風に話す赤髪さんを訝しげな表情で見上げる。
そんな私に気が付いたのか、数瞬の間きょとんとした赤髪さんは悪戯っぽく歯を見せて笑った。

「自己紹介がまだだったな。俺は太宰治。この世に彗星の如く現れた天才小説家だ」

「……自分で天才って言うのはどうかと思うよ」

懐かしの友人にどう声をかけたらいいか分からなくて、迷った末に生前のように笑いかけた。

「Aだって自分の事秀才って言っただろ！」