【文アル】文豪のみぞ知る文豪 (ページ12)

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#１２ページ12

司書さんと別れて、賢治さんに連れられて自分に与えられた部屋へと来た。

そよそよと開放された窓から入り込む風が心地よい。賢治さんのマントがふわりと揺れた。

「えぇっと、部屋を出て向かいの部屋が北原先生の部屋だよ。右隣は芥川先生で、左は三好先生」

「え、三好居るの？」

「うん、知り合い？」

「まぁ、そんなところかな。旅行先でね、たまたま会って仲良くなった」

「Aって結構人脈が謎だよね」

苦笑いされた。いや、ただ生前文豪とよく会って仲良くなっただけですって。

歳を重ねるごとに一般職の友達と疎遠になっていくのはちょっとヤバイと思ったけど。太宰とかが居たから然程気に留めなかったのはここだけの話だ。

「でも私の中での最優先は賢治さんですから」

「それは光栄だよ！ああ、司書さんに開花の許可貰ったんだ。開花室、行こうか」

「うん」

賢治さんと手を繋ぎながら部屋を出る。開花って何だろう。花に水をやるのだろうか。

賢治さんに半歩遅れながら歩いていると前から茶髪の快闊そうなお兄さんがこちらへ向かってきていた。うわ、また美青年だ。

「んー、あれ。宮沢先生やないですか。どうしたんです？綺麗なお姉さん連れて」

「これから開花室へ行くところだよ！えへへ、この子綺麗でしょ、ボクの宝石(弟子)だよ」

「そんなルビ振り初耳ですわ……開花っちゅう事は、お姉さんも呼び出されたんか」

ズイっとお兄さんの綺麗な御顔が近付けられる。ひぇぇぇ、何なのここの美青年達は。顔近付けないと死ぬの？

思わずキラキラと光る紅色の双眸へ目潰ししようと人差し指と中指が動いたが根気で阻止した。初対面の人に目潰しとか喧嘩売ってるとしか思えない。

「あんさん、名前は？ああ、ワシは織田作之助。気軽にオダサクって呼んでえな！」

「オダサク？え？無頼派三羽烏の？うわ、……うわぁ」

「何やねんその反応！めっちゃ失礼やわ！」

「ごめんてオダサク、生前の仲だったんだ許せよ。あーっと、私は真泉A。秀才物書きだよ」

「…うわ、ほんまかいな」

「お前人の事言えないからなその反応」