【文アル】文豪のみぞ知る文豪 (ページ11)

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#１１ページ11

「賢治さん、賢治さん、またお会いできて嬉しいです」

「うん！僕も会えて嬉しいよ！ボクがAを連れて来れてよかったぁ」

志賀さんの案内で司書さんが居る補修室へと行くと、あの雪と大木のあったところから私の手を引いてくれた少年が居た。自己紹介を済ませた頃には、私は少年の、いいや賢治さんの手を握り満面の笑みを浮かべていた。

どうしよう、賢治さんと再会できた嬉しい。語彙の低下がやばい。

「誰が連れてこようと同じじゃないんですか？」

「ううん、ここでは連れてきた人が教育係になるからさ。物書きとしての道、この傷付く戦いの道へ引き込んだのはボクだからね、責任持って育ててあげる！」

「……お手柔らかに、お願いします」

にっこりと笑った賢治さんが何故か恐ろしく感じた。スパルタ指導はご遠慮願いたいものだ。

すっかり私と賢治さんが二人だけの世界に入っていると、コホン、と咳払いをした司書さんが気まずそうに視線を逸らしながら口を開く。

「えっと、真泉、先生…？」

「固いなぁ、気軽にAでいいですよ」

「あ、じゃあA先生で。遅くなったけど、帝國図書館へようこそ、歓迎するよ」

「あはは、歓迎されちゃいますー。私なんかがお役に立てるとは思いませんがね」

「こらA！そういう卑下はよくないよ！」

「えぇ…ごめんなさい」

賢治さんが私を叱り、それに素直に返事をすると司書さんは穏やかな笑みを浮かべて目元を和ませた。

「二人は仲がいいんだね」

「まぁ師弟みたいなものだし…あ、今の背格好なら姉弟に見えるよね！」

「賢治さんと家族だなんて、毎日が幸せだろうなぁ」