今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:51,279 hit
小｜中｜大
#２ ページ2
「分からないよ。そもそも私に名前が？」
「うん。あるんだよ、思い出せないだけで。ね、お兄さんはあなたの事を何て呼んでたの？」
「賢治さん、は……ごめん、思い出せない」
「ふうん……その本、読んでみたら？」
少年が指さしたのは私の持っていた本だ。
少年は提案するように言ったが、その目は読めと強く訴えている。ああ、厭だと言えない。この子には逆らうなと私の中の何かが告げている。
恐る恐る、少し震える手で、表紙を捲る。
真泉 A
1900【明治33年】〜1940【昭和15】
著作者の欄を見てはっと息を呑む。
思い出した。
私は、真泉A。決して世に出回る事の無い作品を書き続け、愚かにもその作品に自分の気持ちを詰め込んだ物書きだ。
途端に世界が輝く。きらきらと光に融けて消える木や雪がとても羨ましくて、泣きたくなった。
そう考えているのを露程も知らないであろう少年は嬉しそうに笑いながら私の手を引く。
どこに向かっているのか、いいや、どこへ向かおうと結果は同じだろう。
私はまた、あの酷い世界で生きるのだ！
「私は真泉A。童話から大人向けの小説まで多種多様に書いていた、所謂秀才物書きってやつだね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミユ・アローン(プロフ) - 私も二葉亭さんをお迎えできなさそうです・・・お互い頑張りましょう！応援してます！！！ (2017年11月29日 20時) (
レス) id: 22497290a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：遊歩
| 作成日時：2017年10月29日 20時
