妙 ページ6
日暮れ、私たちは滞りなく20人の隊士方と合流した。
もちろん、皆さん私より年上で、階級も上だ。
失礼にならないよう、そして足手纏いにならないよう、気をつけなければ。
そう意気込んでいる間に、義勇様が作戦を話し始めた。
ちゃんと説明できるでしょうか。
失礼とは分かりつつも心配をしてしまう。
義勇「…3人7組で登る」
………少ないですね。
しかし要点は抑えている。これならギリギリ伝わりそう…
そうっと周りの方の顔を見れば、少し困惑はしているものの理解はしているようだった。
あれ、でも。
『義勇様…それだと1人余りませんか？』
義勇「…俺は一人で登る」
今度こそざわめきが広がった。
隊士「え…それじゃ…」
義勇「見つかればすぐに向かう」
遮るように義勇様が言葉を放つ。
悪気はない。多分。
義勇「行くぞ」
日が見えなくなったのを確認し、号令がかけられた。
全員、ざわめきながら着いていく。
山に入った途端、義勇様は地を蹴り、西に消えた。
こういう時ぐらい、単独行動しなくてもいいと思うのですが。
隊士「えっと…よし、みんな！3人組で別れよう！」
甲の男性隊士1人が声をかけた。
それを機に、皆わらわらと動き出す。
私は乙の女性隊士の方と、甲の男性隊士の方と組んだ。
隊士「よろしくね。私たちは東側から回るの」
『分かりました。足手まといにならないよう、精一杯励みます』
気にかけてくれた先輩隊士に感謝をしながら、山に足を踏み入れた。
瞬間、妙な気配を四方から感じた｡
『！？』隊士「「！？」」
先輩も何か感じ取ったようだ。
すぐさま魂視を開始し、気配を探る。
『(……！？いくらなんでも、多すぎる…異常だ…！1番近いのは…)』
『！あっちです…！』
こんなふもとにも鬼がいるなんて…！
幸い、1番近い村は藤の花に守られているため、被害は少ないらしいが…
隊士「水の呼吸 漆の型 雫波紋突き！」
甲の方が真っ先に斬り込む。
見たところ、ただの雑魚鬼のようだ。
隊士「霞の呼吸 肆の型 移流斬り」
体制を崩した鬼を、乙の方がトドメを刺した。
隊士「近くにもう一体いますね。行きましょう！」
これは、持久戦になるかもしれない…
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作者名：白百合…かと思いきや汚れすぎて黒百合です | 作成日時：2021年10月10日 18時
