17 ページ17
Aside
痛みに顔を歪めている将企。
肩でしている呼吸を何とか整えようとする将企。
動く度に苦しそうな声をあげる将企。
目を背けたくなるぐらいボロボロだった。
「っ大…丈夫か？重い…やろ？、っつ！あと、…足」
A「全然平気っ！だけど、足？」
リリー「っ痛めて…るんや…ろ？俺が…後ろに…っ突き飛ばした時…」
その通りだった。将企が私を守る為に突き飛ばした時、バランスを崩して足を捻ってしまった。
A「あぁ、まぁ少し捻ったけど大したことないと思う」
リリー「ちょっと…休も…」
そう言うと、私を車のボンネットの上に座らせ、その前に将企がゆっくりと片膝を着いて屈んだ。
リリー「テーピング…持って…来てる？」
大人しくテーピングを渡すと力の入らない手でそれでも器用にしっかり手当てしてくれた。
リリー「足は…逃げるのにっ…大事やからな…、俺の…体重まで、かかってるし…」
A「ありがとう…グスッ、将企の方が苦しい筈なのに…将企は？足とか、簡単に手当てできるとこが有ればやろうか？」
すると、黒い服で気づかなかったが、将企が服を捲ると下腹部に鋭利なもので切ったような深い傷があり、まだ新しい血が滲んでいた。
いつから我慢してたんだろ…
リリー「足とかはっ…多分平気、この傷…」
A「止血して、消毒して、ガーゼ貼るね」
少し強めにハンカチを押し付けて血を止め、消毒する。
リリー「ん、フゥ…っハァ…ゔっ……あ"っ…！」
A「ごめんね…ガーゼ貼って終わりだから」
リリー「あり…がとう…な、大分…マシになった」
手当てが終わり将企が私の隣に座ろうとする。顔を顰め小さな呻き声をあげてゆっくり立ち上がる私も手を貸し、隣に座らせる。泣いている私を見て、弱々しい力で私の肩を抱き寄せた。
きっと、あと少しで避難所…将企、耐えてね…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名無し | 作成日時：2022年1月16日 15時
