Together (ページ1)

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リリーside

外が騒がしい…

サイレンの音や人々の叫び声で目が覚める。
簡単に身支度を済ませながらテレビのリモコンに手を伸ばす。

「ニュース速報です。人間に害を齎す有毒なウイルスが何処かからか漏洩しました。このウイルスに感染した者の症状としては知能の著しい低下、感染していない人間に対して噛み付くなどが報告されています。なお、感染者に噛み付かれたものも感染する恐れがあるとの事なので十分に気を付けて下さい」

いわゆるゾンビ映画のような事が現実となってしまった。

俺にはAという彼女がいる。1年前から結婚を前提に付き合っているが彼女は無事なのだろうか…
急いで電話をかけてみる。

リリー「もしもし⁉A！無事か？今家におる？」

A「もしもし…家にいるんだけど、将企…私外に出て逃げる勇気ない…」

リリー「そうよな…俺が迎えに行くからそれまでに逃げる準備してちゃんと鍵かけて待ってられるか？」

A 「将企！そんな無茶なこと言わないでよ！外は大混乱だしゾンビだらけだよ！そんなの危険すぎる！」

リリー「大丈夫やって、なるべく急いで向かうからちゃんと2人で生き残ろうな？信じてくれるやろ？」

A「…分かった。絶対無事で来てね！」

リリー「おん」

電話を切って俺は必要最低限の荷物と、武器になりそうな包丁だけ持って家を飛び出した。

外はまるで地獄だ。至る所で火災が発生し、ひっくり返った車からは黒煙が上がり人々はゾンビから逃げ回っていた。

俺は人々の波に逆らうように全速力で走った。

思ったよりもゾンビの数が多い。最初は人間の形をした彼らを殺すのを躊躇していたが、ここで噛まれてしまえば(A)まで危険に晒す事になると思うと必死にゾンビを掻き分け、包丁で倒していった。