狂わせた時計の針を戻す方法 (ページ24)

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近付いてくる勝利

殴られると思って目を瞑るけど、

殴られるどころか抱きしめられた

｢なんで、そんなこと言うの、｣

今にも消えそうな、か弱い声

｢わからないの、勝利が｣

そう告げると、涙で顔をいっぱいにした勝利が

｢俺の方がわかんねえよ!!!

Aの考えてること、なんもわかんねえ!!!｣

大きな音を立てながら椅子を蹴りあげた

｢やめてよ！そういうの！

もう、疲れたよ、｣

勝利の前ではじめて泣いた

はじめて言い返した

私の涙を見て、ピタリと止まる勝利

｢ごめん、俺｣

｢毎回毎回、謝るならこんなことしないでよ！｣

涙が止まらない、

怖いんだ、私

勝利が怖くてたまらないんだ、

｢泣くなよ、

泣きたいのはこっちだよ、

出会った時から一度も、好きって言ってくれなかったのはどっちだよ｣

勝利に言われてはっとした

私、一度も好きって言葉にした事がなかった

でも、当たり前か

多分、好きじゃなかったから、勝利のこと

最初から、

告白の返事をOKしたのも、

断る理由が無かったから、なんて

本当に私、最低だな

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