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「まだ時間あるぞ。もう少し寝てったらどうだよい」
『貴方がそこに居る限りは眠れませんけど』
寝ろ寝ろと促すマルコ。だが、本当に寝かせるつもりがあるのかって位に彼にはどける様子が見られない。
かといって彼が居なくなったところで眠るつもりは無いのだが。意図的ではないといえ、1時間以上も眠っていたからか随分気分が良い。頭が軽いしスッキリしている。やはり仮眠は大事なのだろう。
『授業ももうすぐ終わるし、今更戻ったところでねぇ』
そんな半端に真面目ちゃんって訳でもないので、理由もある以上堂々とサボろうと思う。
「あー、それが良いかもな。
少し俺と喋ってこうよい。お菓子でも食いながらな」
1人じゃ食いきれないんだよなー、なんて言いながら綺麗に整頓された棚を漁るマルコ。
学校関係者だと言うのに、生徒に授業をサボって菓子を食うことを進めるなんて、とんでもねぇ人だと思う。
「ほら、こっち座れよい」
貰い物なのだろう。缶に入ったクッキーを片手で持って、もう一つの手で生徒用の椅子を引いて私に座るよう促すマルコ。
『あ…ありがとうございます？』
無駄に紳士な対応に驚きながらも、私も素直に座った。
「んで、Aよ」
彼も私の目の前に座り、高級そうな絞り出しクッキーを1枚摘むと、何やら神妙な面持ちでこちらを伺ってくる。
『…なんですかね』
あまりの気迫に圧倒されながらも、絞り出すような声で彼に訪ね返す。
「あんた、ローに気に入られてんだな」
『…は？』
信じられないものを見るような目でこちらを伺うマルコ。案の定、私も何を言われているのかさっぱりなもので、同じ表情を彼に返す。
『気に入られてる訳がないでしょーが。ろくな接点もないのに』
呆れた、うんざりした。これらの感情が相まって、うっかり先生相手に繕った敬語を使うことも忘れてしまう。
いや、気に入られるとか無いだろ。単純にそう思った。
挨拶しても愛想のない返事を返されるし、あだ名どころか名前すらも呼んでもらえないし。そもそも、絶対彼は私の名前すら知らないだろ。よくナミとロビンと一緒に居る奴、程度の認識だろ絶対。
『いやむしろ嫌われてね？これ』
思い返せば思い返すほどそんな気がする。
「お前それあれだろ。ツンデレってやつ」
『そんな可愛いものじゃないですよ、絶対』
どうせ他人事だと思ってるんだろう。マルコは湿度の高い目でクッキーを食べながら野次を入れてくる。
こんなカウンセリングは嫌だ。
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作者名：あまちー | 作成日時：2022年9月19日 23時
