11 ページ12
『そういえば、私って体育館で倒れたんでしたっけ？』
少々うる覚えではあるが、確か私はボールがぶつかって気を失ったんだ。
目立ちたくないと思って必死に消極的プレイをしていたのに、まさかこんな悪目立ちする結果になってしまうだなんて。
なんというかダサい。これはもう教室で顔を見せられないし、二度とバスケもしたくない。私ダサダサ、なんて思って少々ナーバスになってしまう。
というか、何故に体育館で事切れた私が保健室に居るのだ？
まさか、律儀な私は気を失いながらも保健室に来たというのか？
いや、そんなの有り得るわけがなかろう。
勝手に自己完結した私は、1つの説をマルコに唱える。
『まさか、マルコ先生が運んできやがったんですか！』
やらしー、なんて言いながら、私は自身の身体を隠すような大袈裟なポーズをとって、マルコを見る。
目の前のマルコは、何言ってんだお前みたいな冷めた視線を送ってきやがる。
「いやぁ。確かに、知らない男よりは俺が運んでやれれば良かったなって思う気持ちも解るんだがねい」
何彼氏面してんだコイツは。何一つそんな事は言っちゃいないのに、過大解釈してやがる目の前の保健医を睨む。
『なんですか、私は知らない男に運ばれたとでも？』
「ああ、同じクラスのトラファルガーだよい」
『…あ、え？』
予想だにしていなかった名前だった。面識なんてほとんどないし、運ばれるギリなんてもっと無いのに。
いや、確かに彼は同じクラスのチョッパーと共に保健委員をしている。そうか、保健委員の活動か。チョッパーじゃ私を運べないから彼が運んだのか。
死の保健委員とか言われるトラファルガーがそんな優しいことをするとは思えないが、きっとそういうことなんだろう。混乱する頭でわかったふりをしながら、私は首を横に大きく振った。
「まあ、意外と大切に扱われてたから良いんじゃないか？」
すると、マルコが何かを思い出したようにしみじみと語る。
「俺も委員会として何かとアイツに肩入れするが、あんな姿を見るのは初めてだよい。
いつもは意地でも他のやつに任せるのにな」
考えにふけるように顎に手を当てるマルコ。眼鏡をかけた知的そうな彼は、そんな何気ない行動すらも様になる。
「いやぁ。一体何があったんだよって思わず焦ったねい。
まさか、Aがそう簡単に他の男に自分を預ける尻軽だったなんて」
『取り消せよ？今の言葉』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あまちー | 作成日時：2022年9月19日 23時
