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マルコside
恋のキューピットも楽じゃねえと思ったのは、何も今に始まったことじゃない。
委員会活動にて、毎度のようにローをこき使っていた時。
「おいロー。お前、1組の健康観察記録簿持ってきてねえだろ」
「…あ？」
2時間目あたりの休み時間。俺は、わざわざローの教室まで出向いて、未だチェックが付けられていない1年1組の欄をローに見せる。
「…ちっ。トニー屋は欠席か」
いつもチョッパーに仕事を任せているロー。めんどくさいとでも言うように、精一杯顔を顰めては、健康記録簿を取りに教卓へ向かう。
「早くしろよい。あんたも同じ委員会なんだからな」
珍しく人が説教してやった所で、あの不良少年は聞く耳持たないようだ。
「おいマルコ。欠席者の名前を書くからペンを貸してくれ」
「てめ、それが人に物を頼む態度かよい！トラファルガー！」
コイツが、相手が誰であろうと態度がデカイのはいつもの事だから、何も今更気にすることでは無い。いや、気にはしているのだが、流石に慣れた。
俺も俺とて、野郎相手に話を長引かせるつもりもないために、快〜くペンを貸してやった。
「……助かる」
ありがとうぐれぇ言えねえのか？なんて思いはしたが、コイツが素直に礼を述べるなんてありえないことだから仕方がない。
ローは慣れたようにペンを走らせ、欠席者の名前を書き込んでいく。
まずはA。
「ローお前、Aの名前ちゃんと書けんだな」
「馬鹿にしてんのかてめぇ！」
「してないしてない。でも、お前いっつも人のことは『〜〜屋』とか呼ぶじゃん。A屋〜とか言わねえのかよい」
「言わねーよ！」
Aはローに認知されてないとか言っていたが、んな事は無さそうだ。めちゃくちゃ意識してるっぽい。
「ふーん、にしてもAは休みかよい」
「…随分と肩入れしてるな」
「そんなことねえよい」
「気に入らねぇ」
何やら警戒心剥き出しで俺を睨むロー。
まったく肩入れしてないと言ったら嘘になるが、別にAに対して下心がある訳では無い。
Aは俺の古い知り合いの娘だ。だから、彼女の小さい頃から面識があり、俺も一緒に彼女の成長過程を見守っている。それだけだ。
「A、小さい頃は可愛かったんだぜ。俺の事を『マルコマルコー』って呼んでくれてなあ」
「てめぇ…それは事案だろ…」
(はっはーん。なるほど)
元々おっかねえ顔を、さらに強ばらせるロー。これはあれだ。嫉妬だな？
「ローも男の子だな」
「あ？」
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作者名：あまちー | 作成日時：2022年9月19日 23時
