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降谷side
「…ん?…げほっごほっ!」
「どうしたAちゃん!」
ドリンクを飲んでいる時、Aは急に咳き込んだ。おそらくむせたのだろう。咥えていたストローから口を離し、両手で口元を覆っている。
ヒロがどうしたとAに駆け寄り、背中をさする。
「どうせ食いすぎだ。こんな大事な時に体調崩すなよ」
やれやれとAを見る。
だが、Aはいつものように睨み返してくる訳でもなく、怯んだように目を見開いている。
「ま、まずい!道路に交通規制がかかった!
このままじゃ手順に狂いが!」
「はあ!?」
鬼気迫る表情でそう言うAに、僕たち3人は思わず机に手をついて身を乗り出す。
「…奴らのトラックのルートが逸れた。
国道を上がってバイパス道路に。このまま逃げ切るつもりだ」
Aはハンバーガーの最後の一口を食べ、そう言った。
「確かなんだな」
僕の問いに、Aは静かに頷いた。
そうと決まったらやるべき事は1つ。
「僕が車を出す。そのトラックに追いつくぞ」
僕は、ポテトを手にするAの後ろ首を引っ張った。
「ちょ、ちょっと待て!もうすぐ食べ終わるから!」
「んな悠長なことを言ってる場合か!」
そのまま暴れるAを引っ張って行った。
*
*
車に乗り込んだ。僕が運転をし、助手席には班長。後ろの座席にはヒロとAが乗っている。
「もっとスピード出せないのか!?
このままじゃ逃げ切られてしまうぞ!」
Aは窓から顔を乗り出しそう叫ぶ。
「無茶言うな!警察官にスピード違反をしろってか!?」
「どうせ交通規制で車1台通ってないんだ!少しくらい飛ばしても問題ない!」
「問題しかないぞ!」
辺りの道路は、交通規制がかかったために車1台通っていない。普通、これは違反なのだが今回ばかりはやむを得ない。
「…っち。こんな時にまで真面目ぶってんじゃないわよ」
Aは舌打ちを零し、唸るように低い声で言った。
僕はそんな言葉に腹立ちながらも荒くハンドルを切る。
そんな時、Aが待てと小さく呟いた。
「次の信号を左折して一般道に出ろ。ゼロ距離ではないといえ、そうすれば4分後に奴らのトラックに近づける」
「…奴らバイパスに居るんだろ?上の道路を走るトラックをどう止めるんだ」
班長が後部座席を振り返って言う。
「そんときゃチャカの出番よ」
Aはへっと鼻で笑い、イタズラをする子供のように笑った。
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あまちー(プロフ) - いずみさん» ありがとうございます!キャラの濃い夢主ちゃん、かあいいですよね (2022年12月15日 5時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
いずみ - 夢主好き (2022年11月13日 19時) (レス) id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
あまちー(プロフ) - 莉久さん» うわー😭嬉しいお言葉ありがとうございます!感情移入しにくい夢主かなって少し後悔してたんですけど、そう言っていただけると励みになります🙇♂️ご期待に添えるよう更新頑張ります💪 (2022年8月25日 16時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - めっちゃくちゃ面白くて、つい一気読みしちゃいました!夢主ちゃんの性格が大好きです!この事件がどう解決されるのか、恋愛は発展するのか……楽しみです!更新頑張ってください!!! (2022年8月24日 13時) (レス) @page5 id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまちー | 作成日時:2022年8月21日 22時