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「挙句の果てには関わるな!?
意味わかんない!いきなり弱気になってんじゃあないわよ!」
「A…」
「まだ始まったばかりでそれか?!
萩原は助かった!だから代わりにこの男が死んだだけ!この世の誰もがハッピーエンドを迎えられると思うなよ!
お前の考えはただの綺麗事だ!ヒーローごっこはよそでしてくれ!」
まだ言いたいことがあったのか、Aは口を開くが、ハッとした顔ですぐに言葉を飲み込む。
そして、バツが悪そうに下を見て、冷静に、いや冷静を装って話し始めた。
「私は自分勝手にあんたらに関わってるだけ。だから、あんたが謝る必要はないの」
それでもやはり、僕にとっては心残りだ。
Aは感情的な顔を取り消し、冷静を装った表情で僕のポケットを指さす。
「携帯」
スーツの内ポケットに入れた携帯。うんともすんとも言わないそれを指さし、Aは続ける。
「6秒後に松田から着信がある。私に出させてくれ。急を急ぐ要件だからな」
そしてジャスト6秒後。僕の携帯は無機質な音とともに松田陣平と表示する。
それをAに手渡した。
『あ、おいゼロ!お前無事かよ!
…それはそうと、東都湾のオイルターミナルで異臭騒ぎがあった。
一応念の為に周辺住民を避難させたいんだが、協力してくれねェか?』
「ああ、奇遇だな。ちょうど、私達も偶然近くに居合わせているんだが。
オイルターミナルで待ち合わせて合流しよう」
『ん?…って、てめぇはAだな!
なんでお前が出るんだ!てかなんでそこにいんだよ!』
「訳あってここにいる。その訳は後で話すから、とりあえず急いで来い。お前の力が必要だ」
そう言いたいことだけ一方的に伝えると、Aは通話を切った。
「合流できそうなのか?」
「ああ。意外と近場に居るようで。20分後に合流といったところか」
Aは僕に携帯を返す。
「悪いが、お前はここで前線を離脱だ。班長と一緒に諸伏さんと事件の整理を頼んだ」
「ああ。こちらは任せろ。…僕…というよりは班長が居るから大丈夫だ」
それもそうだな、とAはようやく笑みを見せる。
「……悪かったわ」
Aが眉を下げて申し訳なさそうな表情をする。
「そういうのは全て終わってからにしてくれ。
…そうだな。みんな無事だったら飯でも行くか」
「…奢れよ」
「考えとくよ。じゃあ、」
健闘を祈る。
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あまちー(プロフ) - いずみさん» ありがとうございます!キャラの濃い夢主ちゃん、かあいいですよね (2022年12月15日 5時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
いずみ - 夢主好き (2022年11月13日 19時) (レス) id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
あまちー(プロフ) - 莉久さん» うわー😭嬉しいお言葉ありがとうございます!感情移入しにくい夢主かなって少し後悔してたんですけど、そう言っていただけると励みになります🙇♂️ご期待に添えるよう更新頑張ります💪 (2022年8月25日 16時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - めっちゃくちゃ面白くて、つい一気読みしちゃいました!夢主ちゃんの性格が大好きです!この事件がどう解決されるのか、恋愛は発展するのか……楽しみです!更新頑張ってください!!! (2022年8月24日 13時) (レス) @page5 id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまちー | 作成日時:2022年8月21日 22時