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Aに言われた通り、余計なことは考えないことにする。ただ、目の前のコードを順番通りに外していこう。
まず1つ目。うるさい心臓に気が付かないふりをして、僕はそのコードを外した。
結果、何も起こらず。だが、それに安堵する暇もなく、2つ目のコードも外す。
結果、何も起こらず。そして3つ目4つ目とそれを繰り返し、コードは残り1つとなった。
「…おかしいな。もう残り1つだ。僕は運が悪いのか?それともすこぶる良いのか?」
「…………まだ何も変わっていないがな」
おかしい、とAは頭を抱える。
タイマーは残り2分弱。無心でコードを引っこ抜いていたお陰か、だいぶ余裕がある。もちろん、コードはあとひとつだから十分余裕がある訳だが。
「変わっていない?じゃあこれがドカンの線なのか?残り1本、どうやったら解除になる」
僕は未だに考え込むAに声をかけた。Aはややしばらく爆弾を見つめたあと、観念したようにへにゃりと笑った。
「知らねえ。わっかんねえや!
とりあえず、そのコードも抜いちゃおう」
とりあえず。命がかかっているのにそんな楽観的でいいのかとも思ったが、時間も押している為僕もやや楽観的にコードを抜いた。
案の定、何も起きなかった。タイマーは、未だ動いている。
「…まだ視える」
「だからなにが」
Aは、下に小さく見えるオイルターミナルを指さした。
沿岸に出来たそれはとても規模が大きい。上から見るとより構造がわかりやすく、数十のガソリンが入れられたタンクが並び、タンクローリーが忙しなく出入りしている。
もし、あそこに引火でもしたら、世界中の新聞のトップを飾れるだろう。
「最初から違和感はあったんだ。私が視えていたのは、あのオイルターミナルで大きな爆発が起きること。いや、今も見えているが」
Aは動き回るタンクローリーを目で追って話を続ける。
「2時間11分22秒。爆発が起こる。ガソリンは海に浮いてもなお燃焼を続けていて、辺りは火の海になる。あ、ほら。油は水より軽いから浮くのね」
「それくらいは知っている。
……だが、まだその未来が見えているということは終わっていないんだろ?」
そうだと言うように、Aはこちらを向いた。
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あまちー(プロフ) - いずみさん» ありがとうございます!キャラの濃い夢主ちゃん、かあいいですよね (2022年12月15日 5時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
いずみ - 夢主好き (2022年11月13日 19時) (レス) id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
あまちー(プロフ) - 莉久さん» うわー😭嬉しいお言葉ありがとうございます!感情移入しにくい夢主かなって少し後悔してたんですけど、そう言っていただけると励みになります🙇♂️ご期待に添えるよう更新頑張ります💪 (2022年8月25日 16時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - めっちゃくちゃ面白くて、つい一気読みしちゃいました!夢主ちゃんの性格が大好きです!この事件がどう解決されるのか、恋愛は発展するのか……楽しみです!更新頑張ってください!!! (2022年8月24日 13時) (レス) @page5 id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまちー | 作成日時:2022年8月21日 22時