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「お前ら、警察だろ」
男はゆっくりと僕らに尋ねる。警戒心だけに満ちた瞳は、動揺のためかキョロキョロと動き、額に滲む汗と震える手で情けない。
「…け、警察!?」
もう1人の犯人の方も同じように動揺する。
「嫌ですねぇ、警察なんてとんでもない!そんなことよりも、ここは危ないので早く離れましょって」
班長は眉を下げて笑いそう言うが、男は全く聞く耳を持たない。
「黙れ!」
そう一蹴しては、再びリモコンを掲げる。
「この道路にはな!今交通規制がかかっているんだ!一般車両が入ってこようとするはずがないだろ!」
…まったくもっておっしゃる通りだ。てか、お前も入ってんだろ。
「良いか!?このリモコンを使えばマンションの爆弾は爆発するんだ!
大方俺たちを捕まえようと思って近づいてきたんだと思うが、残念だったな!大人しく俺たちの言うことを聞いておけばよかったのに!」
男は口を真横に開いて不気味な笑顔を浮かべる。そして、リモコンの電源を入れた。画面にはよく分からない文字が映し出される。
「全部無駄だ!あのマンションも現場にいる作業員も、全部お前らが殺したも同然だ!」
男は再びリモコンを強く握る。
「待て!」
班長がそれを制止しようとするが、むしろそれは挑発になってしまうようで、男の顔はさらに強ばる。
まずい。このまま爆破されたら全てが水の泡。未来を変えると言ったのにそれが無駄に終わってしまう。
「リモコンを離せ!」
僕も大きな声で叫び、数m先の男に手を伸ばした。
だがその時。状況を一変する出来事が起こる。
「無闇に爆破させる未来は見えないぞ」
もはや猫をかぶることすら辞めたAの冷めた声。
その直後、Aは拘束されている方とは反対の手で銃を持ち、後ろ向きのまま男の腹に押し当てる。よほどの力なのか、男は腹に感じる圧迫感に小さく呻く。
そして
「ばーん」
Aは躊躇いなくトリガーを引いた。
男は一瞬痛いと声にならない声を出し、腹部を押えて道路に転がり込んだ。
「な、」
何か言いたい、言わなければいけないのに、突然の状況に思った通りの言葉が出ない。
「何やってんだお前!」
僕がようやく大声を出した時には、既にもう1人の犯人も腰が抜けてその場にしゃがみこんでいた。
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あまちー(プロフ) - いずみさん» ありがとうございます!キャラの濃い夢主ちゃん、かあいいですよね (2022年12月15日 5時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
いずみ - 夢主好き (2022年11月13日 19時) (レス) id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
あまちー(プロフ) - 莉久さん» うわー😭嬉しいお言葉ありがとうございます!感情移入しにくい夢主かなって少し後悔してたんですけど、そう言っていただけると励みになります🙇♂️ご期待に添えるよう更新頑張ります💪 (2022年8月25日 16時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
莉久 - めっちゃくちゃ面白くて、つい一気読みしちゃいました!夢主ちゃんの性格が大好きです!この事件がどう解決されるのか、恋愛は発展するのか……楽しみです!更新頑張ってください!!! (2022年8月24日 13時) (レス) @page5 id: 28e45e7c9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまちー | 作成日時:2022年8月21日 22時