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「よーしカンパーイ!」
萩原くんの声で、場の人間が各々のジョッキをぶつけ合う。
…とうとう来てしまった。合コン当日が。
周りの皆は、酒を受け取るやガヤガヤと盛り上がっている様だ。恐らく本日の目玉であろう萩原くんが盛り上げてくれてる。
(……や、やばい。完全に出遅れた…。)
だが、当の私はその楽しそうな会話には入れない。手に持つジョッキが僅かに震えている気がするが、恐らくこれは武者震いだ。
いや、良いんだ。私はただタダ酒タダ飯を頂きに来たってだけで、男性陣と仲良くなりたいわけではないのだから。
なんて心の中では強がってみるけど、自分の場違い感は拭えない。めちゃめちゃ居心地が悪い。いっその事、居なくなってもバレないんじゃないか?
1つ魔が差せばよからぬ事を考える状況の私。そんな中、女性陣の黄色い声が聞こえる。
「えー!萩原くん、彼女居ないの!?」
「そーなの。俺は常にフリーだよー。」
だいぶ酒が入ったのか、それとも萩原くんに見とれているのか、女性陣はだいぶ顔が赤い。
こうして男女の仲とは成立するのだ。つくづく詰めが甘いなと思う。
「松田くんは?彼女居るの?」
「あ”?」
「…居ないよね!わかるー…!」
明らかに不機嫌になる松田陣平。そういや、友人はこの男が気になると言っていた。話し掛ける機をうかがっているのかなと、ふと友人を見る。
「降谷くんはどんな女の子がタイプなの?」
いや、今の友人は降谷零にお熱のようだ。
そういや、今日は伊達くんとやらは居ないのか。彼女持ちとは聞いていたが、だいぶ義理堅い男のようだ。
伊達くんが居れば、私のようなボッチにも話しかけてくれたかもしれないのになと、多少ナーバスになってしまう。
やはり、どうも他人と酒を飲むことに慣れない。心を許していないという訳では無いが、酒が入った自分が余計なことをしてしまわないか怖いのだ。
「…はあ…。」
そして、もはや親の声より聞いたかもしれない自分のため息を漏らす。
そして、乾杯を除けば、これが私の合コンでの第一声である。
来たことを後悔するほどの合コンに、思わず頭を抱えてしまう。
そして、よほど浮いているであろう私を気に病んだのか、諸伏くんが私をじっと見つめてくる。
そして、私も私でなんとも言えない湿度の高い目で見つめ返すが、諸伏くんはそれ以上のからっとした笑顔で返してくる。
「お互い酒の席は慣れないね。」
なんて言いながら、彼はこちらに足を勧めてくる。
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あまちー(プロフ) - ななをさん» わ か る (完全同意) きっとヤンデレ景光はヒモにしてくれると信じてます。ありがとうございます😊更新頑張ります💪 (2022年7月9日 4時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
ななを(プロフ) - 私も諸伏のヒモになりたいです(心臓を抑える限界ヲタク)とっても面白いです、更新応援してます! (2022年7月8日 21時) (レス) id: 5488902387 (このIDを非表示/違反報告)
あまちー(プロフ) - LieNさん» ありがとうございます!褒めていただけるのはモチベに繋がるので嬉しいです😭ご期待に添えるように、執筆頑張ります💪 (2022年7月8日 17時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
LieN - この作品すごく面白くて好きです!更新頑張ってください! (2022年7月8日 17時) (レス) @page10 id: ece7746fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまちー(プロフ) - なんかめっちゃ伸びてる。ありがとうございます!オリフラついてないよね? (2022年7月8日 5時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまちー | 作成日時:2022年7月6日 22時