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諸伏side
現在時刻9:54。彼らとの待ち合わせは10:00というのに、未だ誰も来ていない。
いや、確かにまだ早いのかもしれない。Aちゃんに会えるのが楽しみで、オレが思ったより早く来すぎてしまったというだけで、普通はまだ来ないものなのかもしれない。
…いや、でも妙だ。松田と萩原はともかく、待ち合わせ10分前には必ず来ているあの降谷と班長が来ていないのだ。
(…あれ?今日…だよな?場所もここであってるんだよな?)
不安になったオレは、チャットで皆の到着を促す。
送ってから数秒で既読がついた。
(…ひとまず安心。)
思わず力が抜けて、オレは壁に寄りかかった。
だが、既読はどんどん増えていくのに、一向に返信が来る気配がない。
(…なにこれ。これオレ、虐められてる?)
タイムアウトして暗くなった画面には、難しい表情のオレが映る。
(いや、大丈夫。きっとみんな、忙しくて返信できないだけだ。)
と、何とか自分を励まして落ち着きを取り戻す。そもそも、待ち合わせ時刻近くになって、忙しくて返信できない状況って何という訳だが。
「あ、諸伏くん!」
息を吐いて肩の力を抜くと、遠くからオレの名前が呼ばれた。
Aちゃんだ。
かなり急いで来たのだろうか。オレの前に着くや、肩で荒い息を整える彼女。
あれ、諸伏くんだけ?と尋ねる彼女にそうだよと返した。
(…可愛い。)
休日だからだろうか。化粧をして、大人っぽいスカートを履いて、普段学校で見る姿とは違った雰囲気の可愛らしい彼女。
せめて、可愛いと一言言いたいと思い口を開いたら、チャットの通知音がポケットの中で鳴った。
「…ようやく
言葉を遮られたのはやや癪ではあるが、気を取り直してトークを開いた。
5人前略。という訳で来れなくなったから
松田から順に、つらつらと理由が書き連ねられ、ドタキャンされる。
いや、ドタキャンよりも断る理由だ。ドタキャンすることは構わないが、その理由があまりにも見え透いた嘘すぎて思わず頬が引きつる。
もっとマシな理由を考えろよと悪態をつきながらも、了解と聞き分けの良い返信をした。
そんな時、あっとAが声を上げる。
「私の友人、来れなくなっちゃったって…!」
頬を引き攣らせる彼女のスマホには、一体どんな見え見えの理由が書かれているのか。
全員に断られた。これは恐らく、全員グルだろう。
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あまちー(プロフ) - ななをさん» わ か る (完全同意) きっとヤンデレ景光はヒモにしてくれると信じてます。ありがとうございます😊更新頑張ります💪 (2022年7月9日 4時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
ななを(プロフ) - 私も諸伏のヒモになりたいです(心臓を抑える限界ヲタク)とっても面白いです、更新応援してます! (2022年7月8日 21時) (レス) id: 5488902387 (このIDを非表示/違反報告)
あまちー(プロフ) - LieNさん» ありがとうございます!褒めていただけるのはモチベに繋がるので嬉しいです😭ご期待に添えるように、執筆頑張ります💪 (2022年7月8日 17時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
LieN - この作品すごく面白くて好きです!更新頑張ってください! (2022年7月8日 17時) (レス) @page10 id: ece7746fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまちー(プロフ) - なんかめっちゃ伸びてる。ありがとうございます!オリフラついてないよね? (2022年7月8日 5時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまちー | 作成日時:2022年7月6日 22時