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「「いただきます。」」
2人仲良く向かい合い、手を合わせる。
カウンターから食事を受け取り、先程の席に戻ってきた。当たり前ながら、わざわざ我々の席は取られていなかったようで、我ながら苦しい言い訳だったと苦笑する。
今日は週に1度の麺の日だ。メインはうどんで、おかずが数品とサラダがついている。
正直、警察学校に入る前はうどんだけでお腹いっぱいだったが、今やうどんだけでは体が持たないようになってしまった。
(午後の授業も頑張るぞ。)
気合を入れ、ちゅるんと滑らかなうどんをすすった。
余程ものがいいのだろう。コシがあって…いやありすぎて、噛んでいるうちに顎が疲れてくる。だが、のどごしの爽やかさで飲み込む度に生き返る。
(…あー。生きててよかった。)
やはり、食べている時は至福のひとときだ。
なんて孤独のグルメチックなことをやっていたら、顔に出ていたのだろうか。諸伏くんがこちらをじっと見ている。
「…え、あ……な、何かな?」
自分のことは客観的に見れないからこそ、人にそんな反応をされた時は焦るものだ。
明らかに動揺した上擦った声を上げてしまう。…言えない。誰に聞かせるわけでもなく食レポしてたなんて言えない。
諸伏くんも何やら焦ったようにあ、いや…と声を上げているが、すぐさま口元を隠して言う。
「いや、Aちゃんは食べ方が綺麗…というか、美味しそうに食べるなって。」
恥ずかしそうに微笑む彼。
「…む。美味しいんだから仕方ないじゃん。」
食べるのが好きというのは、男性から見て引かれることなのだろうか。あまり大っぴらには言えない。
「作った人、喜んでくれると思うよ。
Aちゃん、本当に美味しそうに食べるんだもん。」
何故か嬉しそうに言う諸伏くん。何故、君がそんなに喜ぶのだとも思ったが、そういえば彼は料理が得意だと言っていたなと思い出す。
やはり、同じ作り手からすると嬉しいのだろう。
「…いつか、諸伏くんの料理も食べてみたいな。」
なんの気なしに言ったその言葉。
目の前の彼は、何故か唖然としているが、すぐさまはにかんだ。
「いつかどころか、いつでも毎日食べさせてあげるのに。」
(…あ。)
毎日…彼の手料理を……。
ここでようやく、私はプロポーズじみたことを言ってしまったと気づいた。
「…いつでも待ってるから。」
そう付け足す彼。
なんだか胸が高鳴る。
ギュッと唇を結び、彼を見た。
(…私、もしかしたら好きかも。)
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あまちー(プロフ) - ななをさん» わ か る (完全同意) きっとヤンデレ景光はヒモにしてくれると信じてます。ありがとうございます😊更新頑張ります💪 (2022年7月9日 4時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
ななを(プロフ) - 私も諸伏のヒモになりたいです(心臓を抑える限界ヲタク)とっても面白いです、更新応援してます! (2022年7月8日 21時) (レス) id: 5488902387 (このIDを非表示/違反報告)
あまちー(プロフ) - LieNさん» ありがとうございます!褒めていただけるのはモチベに繋がるので嬉しいです😭ご期待に添えるように、執筆頑張ります💪 (2022年7月8日 17時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
LieN - この作品すごく面白くて好きです!更新頑張ってください! (2022年7月8日 17時) (レス) @page10 id: ece7746fe0 (このIDを非表示/違反報告)
あまちー(プロフ) - なんかめっちゃ伸びてる。ありがとうございます!オリフラついてないよね? (2022年7月8日 5時) (レス) id: 49054d0acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまちー | 作成日時:2022年7月6日 22時