ギュッとして！

１０ ページ10

川西サイド



「…泣いてもええよ」



そういうと、彼女は声を上げて泣きだした。



今までずっと我慢してたんやな、辛かったんやな。



だけど彼女をその辛い現状から救うこともできない。



今僕にできるのは、彼女の背中をさすることぐらい。



「おい、青年！女の子を泣かしちゃあいけねえよ！」



酔ったおっちゃん達が色々言ってきたが、そんなことどうでもよかった。



「えっ、ちょっとAちゃん、大丈夫！？」



「ママ、大丈夫やから。心配せんといて」



「ごめん…な、さい。急に泣き出…し、て」



「気にせんといてや、今泣いてスッキリすればそれでええねん」



「うっ…すみませ、ん…」



泣きながら謝る彼女を見て、『彼女を守りたい』と強く思った。



ママに言われた時は全否定したけど、彼女はすっごくタイプの人やった。というか、彼女を守りたいと思ってる時点で、もう彼女のことをとっくに好きになっている。



「大丈夫だから、僕が相楽さんを必ず助けてみせます」



背中をさすりながら力強く言うと、彼女がそれにこたえるかのように、僕の服の袖を思いっきり握りしめてくれた。

１１→←９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す