F-1 ページ27
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陳腐な言葉で言えば…一目惚れだった。
ちょっと鼻が特徴的な、優しそうな友人と話しているときの笑顔が頭から離れなくて。
学部も違うしサークルも違うようだし、全く接点はなかったけど、偶然同じ講義になるときは必ずと言っていいほど彼を盗み見ていた。
んはははは、と笑う彼はとてつもなく綺麗で。
がさつっぽいけど、可愛くて。
俺の隣にいる渉は、いつも、
「アホ、見すぎ」
と呆れていた。
「しょうがないじゃん、だって好きだもん」
「名前も知らないのに?」
「きたやま」
「は?」
「きたやま、って女の子たちが呼んでた」
あっそ、と渉は興味のない顔をした。
「小悪魔っぽいもんね、彼。太輔は近寄りがたいイケメンだけど彼は人懐っこいイケメン。可愛いからモテそう」
…え?
「渉今可愛いって言った?!?!」
「言ったけど何」
「だめ!! 渉あいつに惚れないで!!」
「惚れてねーわ、てかあいつ、すぐ彼女できそうじゃね? うかうかしてたらヤバいんじゃないの?」
そうなのだ。
きたやまはちょっとチャラい感じのイケメンで、いつも明るく振る舞っていて、めちゃくちゃモテる。
同性ってだけでハンデがあるのに、全く話したこともない状況からどうやって恋愛対象として意識してもらうまでこぎつければよいのか。
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作者名:谷山 | 作成日時:2018年10月7日 19時