やっぱお前がなに考えてるかわかんねえや (ページ23)

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じゃなくて。

席に着いてどう値段のことを切り出そうか迷っていたら、藤ヶ谷に先を越された。

「きたやまは気にしなくて良いよ。今日は俺が誘ったんだから」

俺が言いたいこと読めるとかエスパーかよ。

「でも…」
「じゃあ、こう言えばいい？俺は今日きたやまをデートに誘った。だから俺に奢らせて？」
「お前が彼氏側なのかよ」
「あは、ツッコむとこそこ？きたやまってちょいちょい天然入るよね」

……あ？！？！

「で、デート？！？！」
「気付くの遅」
「は？！？藤ヶ谷って俺のこと好きなの？！？！」
「うるさい、静かにしてよ」

この前居酒屋で俺と宮田の名前をでかい声で叫んだお前には言われたくねえ！！

ってか。

「あ！！！」

あん時。

「もう、なに」
「お前俺のきたやまっつった…！！」

「失礼いたします…」

藤ヶ谷を勢いよく指さす俺と、顔を赤くして固まる藤ヶ谷の個室に、仲居さんが入りづらそうに飲み物を持ってきた。

酒と食べ物を目の前にしちゃ、しょうがねえ一時休戦だ。

「鍋うまそう…」
「でしょ」

と微笑む藤ヶ谷の耳はまだ赤い。

かんぱーい、とグラスを持ち上げると、カチンと音が鳴る。

やっぱ冷えたビール最高。

そのままテーブルの中央に置かれた鍋に箸を伸ばそうとすると、ちょっと待って、と手を止められた。