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翌日の夕方。人が行き交う駅で宮田と待ち合わせをすると、連れてこられたのはショッピングモールだった。

目的地は5階の角のアパレルショップ。

黒を基調とした洗練された空間に、上質でモダンな服が並ぶ。高いんだろうな、と値札をひっくり返すと、意外にも手に取りやすい価格だった。

にしても。

「宮田、お前ここ場違いじゃね?」
「うーん、まあ、そうかも」

そんなことを言っていると、店の奥から細身の男性がスタスタと近付いてきた。

やっぱ俺ら目付けられたんじゃね?


そのスタッフさんは、俺にいらっしゃいませ、とぺこりと挨拶をすると、宮田の方を見た。

「宮田、また来たのかよ」
「いいじゃん、ちゃん玉のお顔を見に来ましたよ」
「うざ。どっか行って」



えっと……? この状況どういうこと?


「ん? 知り合い?」

俺がそう訊くと、宮田が口を開いた。

が、隣の店員さんが速攻で宮田に一発かまし、ただの友達です、と答えた。


うーん、ただの友達にしちゃあなんか距離近くねえか?

物理的な距離じゃなくて、心の距離っつーか。

「ちゃん玉、嘘は良くない」
「嘘じゃねーし、つか誰この子」
「指差さない、この子って言わない! きたみつは俺の大学の同期! 同い年!」

"ちゃん玉" はあんぐりと口を開けている。まあ、いつものことだけど、失礼な。

「宮田の友人の北山です。はじめまして」

そう挨拶すると、相手はあたふたとしながら、頭を下げた。

「あっと、宮田の知り合いの、玉森です。ここの店員してます… 北山さん若く見えちゃって、、すみません」
「いえいえ、慣れてますから」

気にしないでください、と伝えると、知り合いじゃないでしょ、と宮田が口を挟んだ。


あ、もしかして。

「恋人…?」

そう言うと、ビンゴ!と宮田が親指を立て、その隣で玉森さんが顔を真っ赤にした。

玉森さん可愛いな。照れちゃって。


「玉、もう仕事上がりでしょ? きたみつと3人で、ご飯行こ」

玉森さんは、ふざけんな宮田待ってろとずいぶん上から目線な返事をして、スタッフルームに消えていった。

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作者名:谷山 | 作成日時:2018年10月7日 19時

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